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次は『The Mother/マザー』か?

『The Son/息子』(2022年/イギリス、フランス)監督・脚本・原作:フロリアン・ゼレール 出演:ヒュー・ジャックマン、ローラ・ダーン、アンソニー・ホプキンス

別れて暮らしていた17歳の息子 父は新たな関係を築くことができるのか
順調にキャリアを重ねてきた弁護士のピーター。新たな家庭で新生児にも恵まれた彼のもとに、前妻と暮らしていた17歳の息子ニコラスが現れる。彼は捌け口のない心の悩みを抱えていた。アカデミー賞受賞の『ファーザー』の監督が、父と息子の葛藤を描く衝撃作。

アンソニー・ホプキンスがアカデミー主演男優賞を取った『ファーザー』と同じ監督だから姉妹編というか親子編というような映画か。原作・監督はフランス人だったのか?アメリカのドラマかと思った(イギリス映画だとは思ったが)。それはアメリカの父親像の現実を捉えている映画だと思ったからだ。

アンソニー・ホプキンスも祖父役で登場するが、ヒュー・ジャックマンの父は仕事一筋の遣手の父の後ろ姿を見て弁護士として成功するのだが、離婚した元妻との間に一人息子がいて、懸命にいい父であろうとするのだが、それが裏目に出る。問題は思春期で何もかもうざいという感じか。離婚して元妻と息子を棄てて新しい女性とできちゃったことがそもそも過ちだったので、いまさら良い父親を演じようとしても無理があったのだ。その辺のヒュー・ジャックマンの演技が見事だった。この映画はキャスティングも見事だったと思う。

アメリカ映画ならば最後は問題解決をして強い父親像を描くのだろうが、もうそんな父親はいない。アンソニー・ホプキンスの祖父のように自分勝手に生きてボケていくか、子離れが出来ない親は息子と共に自滅していくだけなのだろう。
それでも最後は新妻に介抱されているのだ。別の愛を見出しているのだから、父親はまだいいだろうと思うのだが、母親は立ち直れないだろうなと思う。というか新興宗教に入信するパターンかな。

なかなかの衝撃作であり、ちょっと席を立てなくなるような映画だった。新妻役のヴァネッサ・カービーもクールで良かった。

母親役のローラ・ダーンも良かった。


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