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「東京タクシー」も作ったらどうか?
『パリタクシー』(2022/フランス)監督・脚本:クリスチャン・カリオン 出演:リーヌ・ルノー、ダニー・ブーン、アリス・イザーズ
崖っぷちのタクシー運転手が 終活に向かうマダムと出会う
ままならぬ人生にすっかり不愛想になったタクシー運転手シャルル。ある日、パリを横断して施設に入居する92歳のマダムを乗せるが、彼女はパリ中の思い出の地を寄り道させていく。思いがけない出会いがもたらした、予期せぬ出来事が感動を呼ぶヒューマンドラマ。
お洒落なフランス映画。老人ホームに入居する老婦人を送るタクシーの中で、交わされる老婦人の人生模様。そして、パリの街並みが観光気分にさせてくれる。なによりも占領下のパリから戦後の復興期の老婦人の人生がドラマチックに描かれている。懐メロ的なジャズもいい。50年代の明るさと彼女の凄絶な人生。
この老婦人を演じたのは90歳を超えたシャンソン歌手で、フィクションなのだが時代に嘘がないというか、その語り口も惹きつけられる。日本だと島倉千代子という感じなのかな。ちょっともう少しポップス的な人なような気もするが。この年代の人は、日本ではいないのかな。こういう映画を作ってもらいたいが。半ドキュメンタリー的にも感じたのは実際にパリの街を走っているからだろう。
ただ老婦人のシーンは別撮りでスタジオだったという。実際のパリは渋滞が酷く老婦人にはハードすぎるからだという。それも成功しているかもしれない。違和感がなかった。昔の映画だと車の窓に写るシーンとか明らかに別撮りだとわかるのだが。
ストーリーは単純で登場人物も運転手と老婦人。それに老婦人の再現ドラマ部分でそれほど複雑ではなく楽しめる。最近複雑なストーリーが多いから。たまにこういう単純だけど面白い映画を観てみたい。バックに流れる音楽とか懐メロジャズがいいんだ。
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