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AI画像生成サービスは「風鈴」の夢を見るか

夏が終わってしまう。
暑いのもぎらついた日差しも苦手だけど、夏自体は好きなので寂しい。
夏の気分を振り返って軽率にエモい気持ちになろうと思い、私は「Mid Journey」を起動させた。
丁度、「--test」「--testp」「--creative」モードが限定公開されているし、夏っぽい画像を出力してもらうつもりだった。

手っ取り早く、「日本の夏の風景」的なキーワードを入れてみた。
青い空に白い積乱雲、海か川か、風鈴やスイカ、夏祭り。日本の夏を連想させるアイテムは沢山ある。その中の、いずれかが入っていれば満足だ。
そして、「Mid Journey」が描いてくれた画像はこうだった。

なんかちがう。

空は青いけど、雲は積乱雲じゃないかな……。
緑の具合も夏にしては優しいというか、桜っぽいのが見える気がするんですけど……。右の歴史的建造物も、昭和の木造家屋くらいだったらよかったのに……。
たぶんこれは、春の風景だ。

「Mid Journey」は海外のAIなので、和の心というのを持ち合わせていないのだろう。日本人が慣れ親しんだ光景も、彼(彼女?)にとっては遠いものなのだ。
ならば、細かく指定してやらなくてはいけない。
私は、「風鈴」「積乱雲」「青空」「すだれ」のキーワードを英語で入れてみた。
これで、日本の夏っぽい風景を書いてもらえるに違いない。
「風鈴」をGoogle翻訳にかけたところ、全く別物の「wind chime」になったので、慌てて「japanese wind chime」に直した(すだれも同様)。このキーワードならGoogle検索で風鈴がヒットするので、問題ないだろう。

そう思って「Mid Journey」に画像の生成を頼んだところ、このようなものが生成された。

おやおやおやおや

「Mid Journey」は基本的に、一発目から美しい画像が出てくるわけではない。何度も試行した結果、良い画像が出てくる(かもしれない)という代物だ。
だから、思っていたのと違うのが出てくるのは想定内なのだが、ここまで違うのは想定外だった。

そもそもキミ、「風鈴」が何なのか理解していないな?
私はそれを確かめるべく、風鈴を単独で描かせることにした。

MJ「japanese wind chimeとはこれですね?」

違うよ!?
ジャパニーズテイストだけど、ウィンドチャイムじゃないか、それ!!

どうやら、微妙なニュアンスが伝わっていないらしい。
そう言えば、日本語でも一応画像生成が出来るという話も聞いた。
ここは素直に「風鈴」と伝えるべきだったのだろうと思い、私は日本語入力をした。

MJ「『風鈴』とはこれですね?」

誰???
右の候補は人物が入ってるし、そもそも、これ is 何???

もしかしたら、新機能の「--test」を「--testp」の方に切り替えたら解決するかと思い、「--testp」で「japanese wind chime」を描いてもらうことにした。

MJ「フォトリアルにjapanese wind chimeを描いてみました」

違うんだよぉぉぉ!(血涙)
和柄でめちゃくちゃ可愛くなってるけど、それはウィンドチャイムであって風鈴じゃないから!!!!!!!ちょっと欲しいけど!!!

どうやったら、日本の風鈴を理解してもらえるんだ……(困惑)
私がGoogle検索をさまよっていると、海外勢が江戸風鈴のことを「Edo Wind Chimes」と呼んでいることを知った。これだ!
私は脳内で軽やかに踊りながら、カタカタターンと「Edo Wind Chimes」を入力した。

MJ「完全に理解した」

なんで浮世絵風にするんだよ!!!
キミにとってEdo=浮世絵なのかい!?
なんかウィンドチャイムですらなくなってきてるし!

風鈴がゲシュタルト崩壊を起こし始めた私は、諦めて別のコンセプトの画像を生成してもらうことにした。

夏の終わり。

風鈴はないが、だいぶ夏らしい画像が生成出来たのではないだろうか。
お陰様で、なんとか2022年夏を納められそうだ。

AIとの対話は集合知との対話であると私は思っているのだが、これほどまでにエモい日本文化がAIから生成されないのは、まだまだ認知度が低いからなのだろう。江戸風鈴は後世まで残すべきkawaii文化なので、一人でも多くの外国人に知ってもらいたい。
個人的に、音色は南部風鈴派だが……。

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