『リメイク・ドラゴンクエストIII 最初の感想』
あまり柄がいいとはいえない中学校でした。
かなりの数の生徒がトイレなどで喫煙しており、上級生などは廊下で咥えタバコしていても先生が目を逸らすような学校。
先生は先生で共産主義に傾倒しており、国語や社会の授業では教科書とは別の資料で勉強。音楽の授業では沖縄の反戦歌や北朝鮮の歌をよく唄わされていました。
そんな感じで…中学時代はあんまりいい思い出が紡がれた気がせず、断片的にしか覚えていないのですが、
昼休みに学校を抜け出してドラゴンクエストIIIを買いに行ったことはよく覚えています。
昼休みに学校の外に行くのも不良行為だったのでしょうか? 校門は普通に開いていたと記憶していますが……ゲームソフトを持ってくるのはおそらく校則違反ですね。買うのはどうだったでしょう?
当時大人気だったソフトということもあり、他の人とタイミングをずらすためにそんなことをしたわけですが、おもちゃ屋さんの包装紙にきちんと包まれたソフトの箱をカバンの奥に押し込んで、まだ見ぬ冒険に胸を躍らせていたのを昨日のことのように思い出します。
かなり灰色だった中学の思い出の中で、輝きと熱をもった思い出になっています。
あの頃を思い返してみて、もしかして自分という生き物にとって、ドラクエIIIって、自分が思っていたよりも大きな存在なんじゃないか? というような気がしてきました。
そんなわけで。
HD-2D版のドラゴンクエストIIIリメイク、最初はスルーするつもりでしたが、始めようと思いました。
それにしても、あのころとは何もかもが違いますね。
自分の歳もまったく違いますし、ブラウン管にアンテナ線でつないだファミコン、そのコントローラー。
今は液晶ディスプレイにHDMI接続していて、コントローラーは無線です。
「アリアハン」の草原はまったくこんな見た目ではありませんでした。音楽は、旋律こそ当時とよく似ていますが、音源はまったく違います。
けれど、冒険がはじまるこの感じ、わくわくさせる気分に時の流れを一瞬忘れてしまいそうになりました。
よいところ
イベントにボイスが搭載されています。お母さんやルイーダがしゃべってくれます。テンポが悪くなりそうですが、イベントだけなので今のところ気になるほどではないです。
イベントの都合上、ルイーダのあとは王様・おじいさん・おじいさん・王様……のような感じでおじいさんのボイスが連発されるのはちょっと気になります。
戦闘のテンポは悪くないですね。さすがにファミコン版のテンポとまではいきませんが。
バギやギラなど範囲攻撃の呪文もダレずに気持ちよく処理されているのを感じます。
ただ、モンスター側の攻撃テンポは一拍置く感じを受けました。
パーティキャラがとてもよいです。声が設定できるよのもいい、見た目が選択できるのもいい、髪色が選択できるのもいいです。
呪文を唱えたり、会心の攻撃のまえに放たれる気合の言葉だったり、臨場感をあげてくれて本当にありがたいです。
コマンド入力画面では、対峙しているモンスターの他にパーティキャラの後ろ姿も見えているのですが、
「これ、見た目だけで位置戦術的なことがあるわけでもないし、まったく不必要な画面では?」
と醒めた気分でいたのですが、十分ありがたいですね。装備した武器を構えていてくれますし、パーティへの親しみが高まっていい感じです。
うーん? これ? なところ
コマンド入力画面褒めましたけど、味方が睡眠状態になっても「ZZZ…」って昔懐かしいエフェクトが出るだけで、バッドステータスとしてのアイコンもテキストも表示されないし、パーティの後ろ姿も全然眠そうにしてないしでがっかりしました。
毒とか麻痺でもこんな感じなんですかね。さすがに戦闘不能になったら立ち姿のままではないと思いたいですが。
「性格」という要素が全然好みじゃないんですが、これはスーパーファミコン版で追加されて好評を博した要素らしいので、ここで文句を言うのはやめておきます。
インタフェースが洗練されていない感じがしました。HP/MPは小さくて見づらいし、職業も表示されないのでわかりにくいです。
3D表現された城や街と、「隅々まで歩きつくしてちいさなメダルを見つける」というゲーム性とがマッチしていないんじゃないかという気がします。3Dの木々や柱の後ろにキャラクターが隠れている状態で、壁沿いにぶつかりながら隠しアイテムを探しているの、デバッグしている気分になってきます。
ポリコレ・DEI関連
男女が「ルックスA」「ルックスB」という言葉に置き換わっています。違和感があります。
たとえば、ルックスAを選んだあと見た目を4種類から選べるのですが、本来のルックスとはこちらの要素では? という疑問がわいてきます。
今のところはやかましいコンサルタントのイチャモン対策としてのやっつけ仕事、のようにしか見えないですね。もしかしたら転職できるようになったら「ルックスA」と「ルックスB」も変えられるようになっているのかもしれませんが。
ワタシ、よい言葉を使う人には、そのよい言葉への水先案内人になってほしいんですよね。
「よい言葉」の方向へ人々を導いて欲しいんですよ。それは舵をとることであり、ハンドルを握ることであり、人々を安全に、一人も欠けることなく、時には崖や嵐を回避しつつ、遠回りも辞さず、送り届けるようなものであってほしい。
それは、「よい言葉」の方角に人々に縄をかけて無理やり引きずっていくようなことではないし、「よい言葉」の体現者であるかのように威張り散らすことではないし、文句を言った人のことを「よい言葉」に反する背教者のように扱うことではないはずです。
そんな人がのさばっている今の状況はおかしいと思っています。他のもっと優秀な水先案内人と交代してほしいですね。
そんなわけで、男女をルックスA/Bにしたからには言葉を狩っただけではないところを見せて欲しいわけです。もっと拡張された概念になった、とかね。今のところはそれは感じられないなと思ったのでした。
いろいろ言いましたが、結構よくできていてずっと遊んでしまう、ずっと遊んでるので細かい点が気になる……と言った感じで、なかなかいいリメイクだと思います。