11月29日「連続テレビ小説『半角カナ』」
半角カナという文字集合があります。
なんとなく「シフトJIS」とひとまとめにして考えてしまっていたのですが、よく考えたらシフトJISよりもずっとずっと前から制定されているのですよね。
調べていると、「半角カナ」さんの半生、かなり激動ですね。
コンピュータ上で使える「日本語の文字」として「JIS X 0201」で初めて制定されたのが半角カナです。半角カナはコンピュータの隆盛、激動の時代をともに生きていくことになります。
一時期は「ANK」つまり、アルファベット、数字、カナとひとまとめにされ、日本のコンピュータの基本文字としての扱いをうけていたのですが、
JIS漢字が登場して、長い不遇の時代を迎えます。
「半角カナ」という屈辱的な名前をつけられたのもこのころです。漢字もひらがなもカタカナも「全角」が標準であり、「半角カナ」は半端者とみなされてしまったのです。
やがて「シフトJIS」との蜜月をむかえますが、日本国内だけで使われている奇妙なエンコード体系とさげすまれ、シフトJISともども半端者として扱われがちになります。
そして、消滅の危機がやってきます。
運命のISO-2022-JPが制定されます。インターネットのメール内で使用できる文字セットの中に、「半角カナ」は含まれませんでした。盛大なるバッシング。
半角カナはインターネットで使うべきではない、歴史の中に消え去るべき文字セットである、という主張が大勢を占めるようになります。
それでも半角カナは「PC-9801」「Windows」「携帯電話」などで、表示スペースやデータ帯域をほんの少し節約できる文字、として細々と糊口をしのいでいました。あれだけバッシングされたメールも携帯メールが主流になってくると半角カナの登場回数は増えてきます。
しかしそれでも、半端者の哀しさ。
やがてグローバル化のうねりがやってきて半角カナはついに消え去るのではないか、と思われるのですが……
半角カナを救ったのもグローバル化の流れの中でした。
「UNICODE」との出会い。
半角カナの活動は無駄ではありませんでした。UNICODEの中に取り上げられ、文字セットの中に残されることになりました。
「半角カナ」は、もう1バイト文字ではなくなってしまいましたが、これからも最初の日本語セットとしての地位を守り続けていくでしょう。