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ホストマザーとして その3

ホストマザーとは一体どうあるべきものなのか、日本のウエブサイトで探してみるといくつか出てきた。やはり家の子供たちと同じように接すると言うのが基本らしい。そしてほぼ無償のボランティアでメインは異文化交流を経験することにあるらしい。交換留学なら分かるが、そうでない場合は払う代償が大きすぎるし、異文化交流もこの国なら一歩外に出ればいくらでも出来る。そういう説明は学校からなかったが、そういう考えに基づいているから報酬がそれほどないのだろう。

我が家での子供のお仕事は、
1,自分の部屋の管理(週に一回のごみ捨て、掃除機など)
2,一週間ごとに交代で全てのトイレ掃除と家中の掃除機かけ
3,庭の芝が伸びたら交代で芝刈り
4,食後の食器の後始末(弁当箱も含む)
5、洗濯は私がするが、乾いた洗濯物を自分で畳んでしまう。

18歳の青年達には其れほど過酷なことは強いていないと私は思っているが、それでも色々大変なのである。

1、部屋の空気の入れ替えをしないし、掃除機も声をかけないとしない。埃っぽいから空気清浄機を貸してくれと言う。ゴミの分別を一切しない。
2,私たちでも掃除機をかけ終わるのに30分はかかるのに5分程度で終わらせる。トイレ掃除なのに、トイレのボール部分が汚い。(自分が使った後に汚していないかをチェックする習慣が全くない)
3,芝刈りは初めての経験だろうから、下手で当たり前。
4,水道の水を全開にして出しっぱなし、周り中水浸し。きちんと洗えていない。洗った食器を伏せて置くことを知らない。

言い出したら切りがない。トイレットペーパーを一週間に2個使ったり、シャワーを浴びてくれないので、ソファーに体臭が移る、独りで動画を夜見て大声で笑う、寒い寒いと訴えるけれど半袖で靴下も履かない。洗濯は本来本人がすることなのだが、家の洗濯機は大きいので私がまとめてすることにしている。彼専用の洗濯籠には下着も一緒に脱いだずぼんが、片方の足がひっくり返って、更に皮ベルト付きで放り込まれている。一度着た洋服は全て洗う。肘をついてご飯を食べる....

まだまだ、まだまだあるのだ.... でも、私は知っている。彼は素直で天真爛漫。悪気はないのである。ふぅ~。

彼に、自分の家で過ごしてきた時のことを聞いてみた。彼は一人っ子。ご両親は非常に優秀な方々の様で、それぞれ自分のビジネスを持っていて超多忙。家事は全ておばあちゃんがこなす。家ではお茶碗を下げたこともないらしい。食器洗いも一度やったことがない。もちろん料理も。洗濯も。学校が終わると塾に直行して、そこで出される夕飯を食べる。そして勉強して夜帰宅する。本人は弁護士になりたいようだ。遊びと言えば、洋服を買う事とシティーに行って何か食べる事。スポーツはほどほどに好きなようだが、自然の中で遊ぶ経験は今までほぼゼロ。

要するに誰からも何も教わっていないのである。年齢を重ねるにつれて頭痛などいろいろな体調不良に見舞われて、母親がこれ以上プレッシャーのある生活をさせたくないと言って、NZへの長期留学を決行したらしい。NZに来てから頭痛はなくなった。我が家に来てからはニキビがなくなり、便秘が解消し、アレルギー性鼻炎も随分よくなった。

心の底から気の毒になった。英語できればそれで良いのだろうか。弁護士になれば、これらのことは問題でなくなるのだろうか。もちろん、こちらではもう大人とみなされる歳になった彼の人生で、私がおこがましく色々口を出すことではないと分かってはいる。

次に何故私のモチベーションが上がらないのかを考えてみた。
報酬額が安い。家の子供より手がかかる。そして、他にはないかと考えてみたら大変な事を発見したのである。彼は「ありがとう」と「ごめんなさい」が殆ど言えない。でも、笑顔を見せたり涙ぐんだりするので気持ちは察する事が出来る。でも、それを言葉では表せない。美味しそうにご飯を食べるのだが、一度も「美味しい!」と言われたことはない。
私の勝手な憶測だが、そう言うことも重なってホストファミリーの彼への扱いが悪くなって言ったのではないかと思う。

ふぅ~
続きは後程。

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