練習スペース006 IAIGIRI

IAIGIRI「真実」

出場コメント
【後半力尽きた。
 後フィクションです。】

A:いやー、懐かしいな!まさか大人になって数年後、お前と再会してこうしてご飯食べるのって全然想像できなかったな!

B:まあ、そうだろうね。こういうのは「必然」じゃなくて「偶然」だからね。

A:しかし、お前数年経ってもまだ滑舌の悪さ治ってないのな。当時の時のまんま変わってないな。

B:ハハッ。そこいじるのやめてくれよ。コンプレックスなんだからさ。

A:ごめんごめん。
  あっ!そういえば、「滑舌の悪さ」で思い出したんだけど、お前中学の時放送部だったんだろ?
  放送してる時のお前、あまりの滑舌の悪さにクラス中に笑いが巻き起こってたんだよなぁー。いやー、懐かしいなぁ。

B:あ、あのさ。その事についてなんだけど、聞いてくれないか?

A:おっ?どうした?

B:別に俺、放送部に入りたくて入部した訳じゃないのよ。
  1年の3学期頃から、帰宅部の人達も強制的に部活入れって先生から言われたんだよ……。

A:そういえば、その辺厳しくなってたなぁ。俺さお前が、皆から滑舌の悪さをネタにウケを狙いたくて入部したんかと思ったわ。
  そうじゃなかったら、なんで放送部チョイスしたん?

B:そう思われても仕方がないだろうね。しかも、俺には放送部入る前から謎の人気者という名声があったし。
  その事から余計皆に誤解されてるんだろうな。

A:違うの?

B:まあ聞いてくれよ。俺って運動駄目だったじゃん。しかも、ウチの学校県大会に向けてどこも本格的に部活に取り組んでたから、
  運動部はどこもついてこれないと部活動見学の最中に、悟ったんだよね。

A:確かにお前運動苦手だったもんな。なら、放送部以外の文科系の部活に入れば良かったんじゃね?

B:そりゃそうなんだけど、文科系で一番人気のあった吹奏楽部は、担当している先生から何故か目の敵にされてたし、
  美術部や図書文芸部とかは、女性ばっかりで入り辛かった。その他にも部活あったけど、習い事で休めるかどうか等を考慮して、
  最終的に男子と女子の比率が良く、都合によっては休める事のできる放送部に入った訳。

A:消去法で決めた訳ね。でも、美術部や図書文芸部も都合が悪ければ休めなかったっけ?

B:確かに休めたけど、女子だらけのところはちょっと噂が立つから、心理的に入りずらかったんだよな。

A:女子ばっかりで入り辛かったっていうのはわかるけど、人ってあんまり他人には興味が無いもんだよ。
  当時のお前さ、世間体を気にし過ぎてたんじゃない?

B:お前の言ってる事も納得できるんだけど、そうはいかなかったんだよね。
  部活に入る前のちょっと前の出来事なんだけどさ、「好きな子誰?教えて!」って聞いてくる奴がいたんだよね。

A:ああ、いるね。そういうプライバシー覗いてくる奴、ウチのクラスにもおったわ。

B:俺は、はっきり「いない!」って言ったんだけど、相手は「嘘!絶対いる!」って言い張っちゃって……。

A:しつこい奴だな~、ソイツ。俺の場合は、「いない!」と一喝すれば、すぐさまコソコソと逃げていったんだけどな。

B:だから俺、嘘ついてクラスで別に好きではないけど可愛いなと思う子の名前を、もうそれで満足してもらおうと思ってソイツに言ったんだよ。

A:バカだなお前~。だから、B君は山下ちゃんの事が好き!って同級生の間で噂になってたのか。
  いないなら……。いや、プライペートな事を聞いてくるそいつの人間性もおかしいんだから、
  いてもいなくてもはっきり「いない!」って言い張れば良かったのに。

B:いやいや、前にも同じそのままそっくりな質問を投げかけてくる奴がおって、その時も「いない」ってはっきり言ったら、
  「そうだよねー(笑)B君はマザコンだからいないよねー(笑)」って、笑いながら立ち去って言ったんだよね……。

A:……それを気にして、心理的に本当の事が言えなかったのか。
  でもさだったら、その場から颯爽と逃げ出したり、先生を呼べば良かったんじゃないのか?

B:そう思うでしょ?そいつがその質問してきた時は、確か市の合唱コンクールの練習の時で、全校生徒が講堂に集まっていたのよ。
  こう生徒が大量に集まってる中、逃げ場がなかったし、近くに先生もいなくて大声で先生を呼ぶの恥ずかしがったんだよ。 

A:そいつ計画的に筋書きを立てているな……。

B:で、俺が可愛いなと思う子を言い終わった後、ソイツに「じゃ、代わりにお前の好きな子も教えてよ。」って言ったんだよ。
  そしたらソイツ、「B君!」って俺の名前を出したんだよ。

A:えっ?そいつお前の事好きだったの……?別に、同性愛は悪い事じゃないけど……。

B:いや同性愛とかそういう事じゃなくて、
  「別に俺は『好きな子教えて』って言った時に、『好きな女子』って定言した訳じゃないから、勝手に女性だけと解釈して自爆して教えてくれてありがとう。」
  という態度だったよ。

A:あー、そういう訳か。まるで悪い一休さんみたいなとんち効かせちゃって……。
  ならお前も、真似して大好きな友人の名前を言えば良かったんじゃないのか?

B:いやいや、俺もうその時好きな人の名前言い終わった後なんだよ?アイツの悪巧みを聞いた後で、その手の罠はソイツに通用しないと思うわ。

A:で、結局お前はズルズルとソイツの罠に引き込まれて、噂をバラ撒かれたって事か……。
  お前も可哀想だけど、山下さんは巻き込まれてもっと可哀想だな。

B:確かに彼女には悪い事したと思ってるよ!
  でも、なんでだろう……。ソイツに「絶対に誰にも言わないでね。」と口を固くして約束したのに……。

A:そんなんじゃ、アイツの口をロックできるかーい!

B:最悪だったのは、その後だよ。
  音楽の授業中だったかな、確か合唱コンクールの練習で男子女子と順番にピアノを弾いている先生の前に囲んで歌の練習してたんだ。

A:ああ、コンクールの強化期間ではそういう練習法してたね。

B:で、女子が歌っている間、男子は後ろで座って待ってたんだよね。
  ところが、なんか俺以外の男子が集まってなんかヒソヒソ話しながら、なんか書いてたんだよね。

A:まーたここでも悪巧みが……。今度はお前以外の集団でかよ。
  てか先生は注意しないのか……あっ、先生はお前の事目の敵にしていたって言ってたから、たとえちょっと騒がしくてもお前がその集団に入ってないからスルーされたのか。

B:十分経ってクラスの男子の一人から「はい!山下さんからのお手紙♪ 本人がB君に直接渡すのは恥ずかしいから、代わりに渡しておいて」と言われたからって言ってたけど、
  明らかに字が汚いし、異常に線が濃かったし、って直ぐにドンくさい俺でもわかったよ。

A:今度はなりすましまでやり始めたのかよー……。で、内容はどんなだったんだ?

B:「山下です。B君が私の事が好きってビックリ!
  もし良かったら、明日の放課後校舎裏に来てください。色々と話そう♪」と書いてたねー……。
  偽の手紙とわかりきってたから、来なかったけど。

A:だろうな。そんなものに引っ掛かる奴誰もおらんて。
  お前、同級生の間で噂が蔓延されたり、偽の手紙を渡されたりして、相当遊ばれてるな……。

B:だから俺さこういう嫌な思い出を思い出すから、女子しかいない部活動に入るのが嫌だったんだよ。

A:ここまで聞けば、気持ちは分かる。お疲れさん……。
  そういえばさっきお前の言ってた「マザコン」の件も気になるけど、マザコンって言い方悪いけど親を大切にするっていい事じゃないのか?

B:ああ、その件ね。確か小学校の高学年の頃、親と一緒に買い物にしてる所を見られたからかな……。

A:えっ!?それだけ!?それだけで、お前のマザコン呼ばわり中学にまで継続してるの!?
  俺、高校の時母親と一緒に近所のスーパーに買い物に行った時に同級生に出会ったけど、次の日何も言われなかったよ?

B:多分、親の手を握ってた事が原因だと思うんだよね。
  まあ、マザコンと呼ばれるようになってからは、三者面談で学校に行く時でも、母親と離れて歩くようになったけどさ。

A:切なすぎるだろ!家庭崩壊しかけてるじゃん!

B:まさかね、俺の一切知らない奴からも、「マザコン」呼ばわりされるとは思わなかったよ。
  後で「あれ?こいつ同じ小学校だったっけ?」と、卒業アルバム使って調べてみると、別の学校の奴だったよ。悪意の伝承末恐ろしや。

A:別の学校出身の奴からも、言われたのかよ!もう、噂って怖いな。無限に広がるアンダーグラウンド。

B:そうそう。俺最初に部活に入る条件として、部活メンバーが女子ばっかりではない事、って言ってたじゃん。
  もう一つしつこくマザコン呼ばわりをされる事がトラウマになって、母親と同世代の先生ではない事も含んでたんだよね。

A:もう入る部活が限られてくる!!
  お前、マザコン、運動音痴、滑舌が悪い、という三連コンボという烙印を押されつつ放送部に入ったのか……。

B:いやー俺ね、昼休みの放送で読む原稿を作る為によく図書室に行ってたんだけど、いつしかの放課後男子数人がテーブルに集まってたんだよね。

A:サラッと言い始めたけど、まだあるのか……。

B:あの時は集まっているメンバーで気付くべきだったのかな。「なんだろう?」と思い、近づいてみてみたら……
  同級生の中で屈指のマイルドヤンキーの集団がのさばってて、裸の女性が描かれている本を興奮しながら集団で見てたんだよね。

A:エロ本持ち込んで、図書室で見てたのかよ……。

B:保健の教科書を、エロ本として扱うのって一種の才能かと思うんだよね。

A:保健の教科書かよ!確かに、性教育として女性の裸が絵描かれてるけどさ……、思春期はなんでも興奮する年頃か?

B:俺がその集団に近づき過ぎたせいで、一人の不良が俺に気づいて「おっ、Bもこういうの好きなのか!?」と喜んじゃってさ、
  無理矢理そのヤンキーグループの仲間に入れられて鑑賞させらそうになって、その日はもう原稿どころじゃないから逃げ帰って、
  次の日から俺は女好きという噂が流れて、そう呼ばれていったんだよね。

A:もう負のスパイラルが具現化されたら、全てコンプリートされそうな勢いだな……。
  ん?待てよ。お前さ、マザコンって呼ばれてたんだろ?なのに女好きと呼ばれるのっておかしくね?矛盾してるんじゃない?

B:あいつらに矛盾もクソもないよ。
  もし俺が「矛盾している!」って反論しても、数で圧力かけて打ち消すだけだから。

A:ハァ……。ところで気になったんだけど、お前ある時期から一切放送しなくなったんだよな。
  あれって、先生がお前に対する異変に気付いて、気遣いされたとかそんなの?

B:……いやあれはさっき図書室で、俺が豆知識とかそういう事に関しての原稿を読んだテープを、給食の時間に流したら何故か不備で途中で切れて……
  先生も切れて、大目玉をくらったよ。

A:ああ、あのいつしかの皆の間で、爆笑の放送事故と呼ばれた例の事件か。皆もお前の大失敗に面をくらってたよ。

B:そうか。まああれ以来、裏方で機材いじりしかさせてくれなかったけど、俺はあれで良かったと思ってるよ。
  本来は美術部に入りたかったんだから。放送部でペチャクチャ喋る気なんて、こちとら一切無いに等しいんだよ。

A:卒業アルバムに、部活ごとのメンバーの写真乗っけているけど、お前沈んだ顔してたな。
  しかしお前、滑舌悪さに皆から神様扱いされてたけど、お前の話を聞いてみる限りだとあんまりいい意味で言われてはなさそうだな。

B:まあな。だって、俺本当は……。

A:待った、もうそれ以上は言うな。わかったから。
  もうお前は同窓会誘わない方がいいな。皆と会う事によって不快な事を思い出してしまうだろうから。

B:やっぱり、同窓会誘うつもりでいたか。
  なんか会ったばかりのお前、なんか企んでそうで嫌だったんだよな。

A:えっ?そう見えた?

B:まあ、俺はお前になんと言われても、同窓会に行く気はさらさら無かったけど……
  山下さんにはこう伝えておいてくれ。「あの時、○○君に好きな子の名前として出してごめん。迷惑かけたね。」と。

A:わかった。じゃ、山下さん……いや、山下君にはB君がそう言ってたと伝えておくね。

B:……えっ、山下さん男になったの?



・【点数と感想】

5点

まず、IAIGIRIさんなら、もっと面白い文章が書けるはずです。
今回はIAIGIRIさんの意図が分からず、
低い点数を付けてしまいましたが、
IAIGIRIさんはもっともっと面白いお方だと思っています。

それでは詳しい感想のほうへ。

【俺以外の男子が
 集まってなんかヒソヒソ話しながら、なんか書いてたんだよね】
ということは、男子からイジられていたというわけですよね。
それなのに
【女子しかいない部活動に入るのが嫌だったんだよ】
へ、着地することに違和感を抱きました。
これなら僕は男子が多い部活のほうが嫌です。
男子からまたネチネチとイジられるかもと思うからです。
なので、女子が多くても僕はどうも思わないです。
個人の感性の話なので、人それぞれだと思いますが、
僕は納得できなかったので、話に入り込めませんでした。

【差別しない先生がいない事】
は、
【差別する先生がいない事】
だと思います。

笑いを意識した文章なのか、
そういう物語を書いた文章なのか、
正直僕には判別できませんでした。

笑いを意識した文章の場合は、
分かりやすいボケ(やツッコミ)があったほうが楽しみやすいです。

笑いに限定した話ではなく、そういう物語の場合は、
そう出場コメントなどに書いて頂けると、有難いです。

点数は5点としたのですが、お笑いでも物語を綴った脚本でも、
どっちにしろ5点かなと思っています。

お笑いの場合は分かりやすいボケを入れること、
脚本の場合は意外性があると良いと思います。

感じた通りに書かせて頂くと、
「そういうストーリーだなぁ」と思ったまま、
終わってしまったという感じです。

お笑いの場合でも言えることですが、
どこかで裏切るとか、
(一緒に会話しているAがBをイジっていた影の首謀者だった)
滑舌という要素を組み込むとか、
(言い間違いや聞かれ間違いによって、よりあらぬ展開になってしまった)
もう一展開とか、
(実はAが勝手に山下さんを呼んでいた)
などあると、話がより良くなるかなと思いました。

最後に一つ。
そもそもAは何者なんですか?
Bにとっての何なのでしょうか。

もし僕なら、Aを”実はBをイジっていた影の首謀者”にして、
でもBもそのことに気付いていて、だから会うことにしていて、
話のラストでBがAへ「影の首謀者なんだろ?」と言い、
「そうだ」という言葉を聞き出して……みたいな話にします。

Bの状況を何も知らなかったように喋るので、友達では無いでしょうし。
このAを掘り下げることにより、
より話に深みが出てくるのでは、と思います。


・【お便りのコーナー】

3本目の投稿、有難うございます!
あくまで個人的な感想なので、
的外れなところもあると思いますが、こんな感じでやっていきます!