漫才:ポニーテール


・【23分で適当に作った漫才台本「ポニーテール」】

2人:はいどうも、よろしくお願いいします。
田中:俺さ、今日こそポニーテールを成功させたいんだよね。
空也:えっ、ポニーテールって成功させたり失敗したりするものなの?
田中:そりゃそうさ、俺はポニーテールを完全に成功したいんだ。
空也:どういうこと? ポニーテールの彼女でも作りに行くの? ナンパ?
田中:いや俺がポニーテールになるに決まってるだろ!
空也:無理だろ、オマエだって坊主だし。髪が足りないじゃん。
田中:いやでも俺は今日成功させるって決めたから。
空也:無理なんだよ、あっ、ウィッグでも被るのか?
田中:そういう科学センターには頼らない。
空也:たいした科学でも無いけどな、ウィッグって。
田中:俺は自分のポテンシャルだけでいこうと思っている。
空也:じゃあ無理だよ、オマエの髪の毛は3ミリで揃っているんだから。
田中:何でそんな無理無理言うんだよ、最近のジジイかよ。
空也:いや最近のジジイの相場知らんからどうにも言えないけども。
田中:俺も知らん。
空也:じゃあどのジジイだったんだよ。
田中:光のジジイ。
空也:RPGで言うとこの回復系僧侶のジジイ?
田中:もう全く分からない。
空也:じゃあもうダメだよ、分からないのに走り出したらダメしかないよ。
田中:まあとにかく、俺のポニーテールを阻止するなよな。
空也:阻止はしてないから、物理的に無理って言ってんだよ。生やすのか?
田中:そんな非科学的なことはしない。髪ってそう簡単に生えないから。
空也:じゃあどうするんだよ、今日決めるんじゃないのかよ。
田中:毛の自己啓発本、持ってきたから。
空也:いやじゃあ生やす方向性じゃん、それ。
田中:毛の自己啓発本は持っている。
空也:だから生やすんだろ? でもそれは無理って自分で言ったじゃん。
田中:俺が書いた。
空也:まあ売ってそうにないからな、そういう本。
田中:毛のテンションが上がること、全部詰めた。
空也:そういうもんだろうな、自己啓発本って。
田中:ちょっと音読するわ。
空也:毛に伝えるからか。
田中:いいや、オマエに伝えたい。
空也:いいよ、僕全然オマエの毛の自己啓発本知りたくないから。
田中:オマエに伝えて判定してもらいたい。
空也:専門家じゃないから判定とか無理だよ。
田中:こういうのは素人が一番いいからさ。
空也:じゃあ分かったよ、判定するだけしてみるわ。
田中:あらすじ。
空也:えっ、自己啓発本にあらすじあるの?
田中:これ三巻目だからさ。
空也:だとしてもだよ、自己啓発本にあらすじあるんだ。
田中:俺のはな。
空也:そうか、僕も自己啓発本詳しないからそういうのもあるのかもな。
田中:いいや、そういうのは無い、俺のオリジナル。
空也:そうなんだ。でもまあいいよ、別に。
   最初オマエのポニーテール否定し過ぎたから、
   ここはバランスとって否定しないわ。
田中:ありがとう、あとで物分かりピザやるわ。
空也:別にいらないから、ピザは自分で選びたいほうだから。
田中:安上がりかよ。
空也:別に安いヤツを優先して選ばないけどな。
田中:毛のジョンはそう言って空を見た。
空也:あっ、あらすじ、もう始まってたの?
田中:そうそう、物分かりピザはあらすじだよ。
空也:そうなんだ、じゃあもう続けて続けて。
田中:終わったよ、あらすじ。
空也:えっ、どこまでだった?
田中:毛のジョンはそう言って空を見た。
空也:三行のあらすじ? 800字程度で言うと思った。
田中:長いのって嫌だろ? 何でもそうだ、長いの嫌だろう。
空也:まあ毛は長くないとポニーテールにできないけども。
田中:揚げ足取りをするなよ、二度と笑えなくなるぞ。
空也:オマエに殴られるのか、僕。
田中:いや、揚げ足取りにハマり、人の言葉尻ばかり捕まえるようになる。
空也:全然ちゃんとした理論だった。
田中:俺は理論派だから、だから毛の自己啓発本を書けるんだ。
空也:そうか、でもこの状態からポニーテールの理論は何なんだ?
田中:スペシャルが起きると思っている。
空也:何その言い方、起きないだろ。
田中:一瞬にしてポニーテールになるから、毛が躍動した。
空也:過去形にするなよ……って! ぇぇぇぇえええええええええええ!
   オマエ! いつの間にかポニーテールになっている!
田中:意外とあらすじ読んだだけで躍動した。
空也:そこは自分でも意外だったんだ! すげぇぇぇええええええ!
田中:俺さ、ポニーテールになったらやりたいことがあるんだよね。
空也:何だよ! もうオマエだったら何でもできると思うわ!
田中:ポニーテールでビンタさせてくれないかな。
空也:それは嫌だわ、僕暴力反対派だから。
田中:えっ! 何でもできるって言ってくれたのにっ!
   勝ち確と思ったのに!
空也:そういうのはちょっと無理だわ、そうくるとは思わなかったし。
田中:いやいやいや! めっちゃ期待したのに!
空也:ビンタとか、本当に良くないと思う。ショー以外で。
田中:ショーは許容する派なんだ……。
空也:ショーのファイトなら全然アリなんだけどな。
田中:でも自分なりのルールがしっかりしているな……。
空也:だからポニーテールでビンタはさせられない、ゴメン。
田中:せっかくポニーテールになったのに、
   今日オマエをビンタしようと思っていたのに。
空也:最初からその気だったのか、じゃあ一緒に漫才もしたくなかったよ。
田中:最初に説明しておけば良かったのかな、
   そうすればぬか喜びもポニーテールにもならなくて済んだのかな。
空也:ポニーテールにはそんなになりたくなかったのかよ。
田中:そう、正直ビンタできなきゃこんな髪型、したくないくらい。
空也:ポニーテールの人に謝れ。
田中:ゴメンなさい!
空也:オマッ! 勢い良く頭下げてビンタしてきやがった! クソ!