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夏らしい事は夏が来る前に終わらせておいた方が良い

どう考えたって埒外に暑い

以前にも書いた通りだ
もはやサマーシーズンは我々のような老犬の記憶にある、あの夏ではない

現代に於いて夏季に迂闊に自転車に乗るという事はつまり、自らの死に寄り添うに等しい行為だ。踏まえて、梅雨入りを前に早めに"夏"を済ませたので、その一例を示す

雨季の前の真夏日が最も夏めいている

実際の夏はあまりにも高温かつ多湿だ。此国の人間は、概ね盆と暮れに"(あまりにも短い)長めの休暇"が生じるが故に。あの過ごしにくい時期を、"何らかのベストシーズンである"と自らを偽って生きなければならない

現実と向き合う作業はいつだって酷だが、先んずれば即ち人を制すのだ
何にせよ湿度が低いうちにそうした方が良い

長野県はガソリンが高く、きのこが安い

そして走る場所に事欠かない。今回は中央道を使う用事があったので
その後に東京に戻らず松本へ向かった

松本は文化度が高く、フィールドとして端的に優れている

趣味の自転車に於ける「ルート」とはつまり、観光でなく地理である

目的地が"絶景"なのはあまりに美しく、あまりにも退屈なサイクリングだと個人的には考えている。今やHDR の華美な加工が施された画像が"絶景"として数多、検索に掛かる時代だ

自らが赴く事の価値は変わらないが、秘境を装った絶景にはもはや秘密などない

踏まえて、以下が個人的なサイクリングの為し方である
僕は、人がいないところに行きたくて自転車に乗り始めたのだ

自らの地図アプリケーションに記された「☆印」

それを見に行くのが、この個体のサイクリングの為し方のひとつである
概ねが山中にある隘路だが、その殆どが結果的に美しく静かな道ばかりであり、今回もそうであった

いつだって個人的な趣味のサイクリングはこんな様子だ

とはいえルートを引く行為は、感謝の正拳突きめいたところがあるようにも感じている。着実に回数をこなす事でしか備わらない技能があるのもまた事実である

ジョゼッフォ・クローチェは、「良い仕事は全て単純な作業の堅実な積み重ねだ」と言ったが、今や古語に分類されるのかも知れない


山深い、所々に廃墟が伴うダブルトラックのダウンヒルでした

具体的なルートを示せ

伴い、ついでにSTRAVAのログも貼るので実際に走ってみるのも良い
※自己採点で70点くらいのルートだが、これを事前準備無しにやれる点に自らに備わったものを感じる

犀川沿いを行けばこんなにも登らなくて済むが、往復どちらかは山の中を行くのが良い。その土地らしさを浴するのがこの趣味の要旨だ

松本の文化度も浴せ

余りにもベタだが、松本に於いては

・珈琲美学 アベでモーニングを済ませ
・適切に自転車に乗り
・旧制松本高等学校を眺め
・百老亭(断じてこの名店を街中華などと呼ぶべきではない)で明蝦巻を胃におさめる

以外の選択肢は少ない

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秘密などなく、あまりにも押しつけがましい内容ではあるものの。ひとつだけ間違いない事実があるとすれば

「夏らしい事は夏が来る前に終わらせておいた方が良い」

という点に尽きる、盛夏は休養に充てた方が良い

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