秋色の内省

陽気。
俺は何を気取っていたのかと思いながら、歩く。

つい、昔みたいな気分になって勝手に走っている。
体のどうしようもなさと、燃え尽きた火山口が妙に気になる。

気にしてもどうしようもないので、どうしようもないことはどうしようもないままにすることにした。

モチベーションが要らないものだけを、淡々と熟すのは、案外いける。
モチベーションに頼って何か行動すること自体が、僕には許されていない。

モチベーションに頼ったり、それがある頃の行動を真似すると、体にガタが来る。
昔の真似をしないことが賢明だ。

もう少し何もできない人間だったら、俺は自室を虫になって這いずり回れればよかったと思う。

中途半端にできるから、欲が出る。

一人でいることすら困難な時は、徹底的な逃避が戦略として許される。
俺は取り敢えず、ジム通いに没頭してみることにした。
考えることがミスだと言い聞かせて、何も考えないことを課した。

考えないように平静を保つここと、現実逃避は肉薄している。

「あと何度自分自身卒業すれば本当の自分に辿り着けるのだろう」
これは何かを掴んだら、それは大したものではなくて、失望して、また何かを探す。
そういう仕組みのことだ。

なら、最初から、何も持ってなければいいんじゃないのか。

今すぐに他の人のようには気取れないし、体がついてこない。
ちょっと待ってくれ、他の人とは誰のことを言っているのか。

君は自分を観察することと、分析することをたまに履き違うようだ。
本当に観察したいなら、不要な判断は捨てることだ。

他人への不信感と倦怠感を抱えて歩く。
俯きながら、壁を作るのが癖になってきた。

ふと、そのことに気がついた。
顔を上げて歩いてみた。
木々が色づいていく、今年も秋が来た。

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