ある，そして，ないはない

今日は，どんな話がいいかなぁ？
え，また理科のはなし？　OK，いいよ〜。
じゃあ，昨日の話の続きをしよう。

昨日はどんなはなしをしたっけ？
そうそう，デモクリトスのはなしだったね。
世界は「原子」と「真空」からできている，って言ってたよね。

うんうん，そうそう。
君はとっても頭がいいから，先生やパパの言うことをすぐに覚えちゃうんだよね。
うんうん，へー，そうなんだぁ。
でもね，大学では先生の言うことをすぐに信じちゃいけないんだよ。
うんうん，そうなんだよ。

だってそうでしょう，ママに怒られたら，なんでー！！って言うよね。
うんうん，そうそう，理由が大事なんだ。

じゃあ，なんで原子と真空しかないのかっていう，その理由をお知らせしよう。
デモクリトスは，パルメニデスという人の言ったことへのお返事として原子の話を出したんだ。
おっ，ここで新しい人が登場だね。

パルメニデスは，「ある，そして，ないはない」と言ったんだ。
あははは，何言ってんだかさっぱりわからないよね。
パパもわかんなかった。うーん，何が言いたいんだろうねぇ。

え，わかんないからつまんない？
そうだよねぇ。じゃ，今日はもう遅いから寝よっか？
・・・え？　眠れない？　そっかー，じゃあもう少しおはなしを続けようか。

パパなりにこういうことかな？って思ったことがあるんだけど・・・
昨日，真空は何もない場所，って言ったよね。
でもさ，これ，おかしくない？
「何もない」がある，っておかしいよね？　どう思う？

うんうん，そう，空気はある。でもね，真空は空気もない場所なんだよ。
うんうん，空気がなかったら，何にもない。そうそう。
ちょっと想像しにくいよね。
「何にもない」は，あるのか，ないのか。
うーん，わかんないねぇ。

パルメニデスは，「何もない」がある，ってのはおかしいよね，って考えたんだ。だから，ないはない。
そして，これに反対できる人はいなかった。
うんうん，そうそう，学校では先生の言うことを覚えなければいけない。
でも，大学では相手の言うことと違う考え方ができること，が大切なんだ。

だから，世界には「あるもの」しかない，
あるものっていうのは昔からずっとあったし，これからもずっとある。
「端っこ」というものもない。だから無限に広がった１つのものである，と考えたんだね。

うーん，わかんない？
うんうん，そうそう，「あるはある，ないはない」ってことだよ。
学問ってさ，わかんない，って感覚があるから面白いんだよ。
そうかなあ？って思うかもね。今はわかるほうが面白いよねぇ。

うーん，今日はパパの方が眠くなってきたな。
そろそろ寝ようか・・・・
・・・・
・・・・
おやすみ。また明日も，いろいろお話ししようね。