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#83 一人のクリスマス

 仕事でクリスマスのおもちゃ売り場に一日いたことがある。イメージ的には微笑ましくハッピーな場所だが、実際そこに立つと戦場のようで、一日過ごすと素人でもおもちゃの箱がきれいに包めるようになる。袋でもOKなお客さんが天使に見えた。そんな場所での一日が終わるとぐったりしてしまって、自分のクリスマスなんてどうでもよくなってしまいがちだ。でも、そういう時こそ自分を労わった方がいい。一人の時であればなおさらに。
 幸か不幸か、一人のクリスマスにはそれなりの蓄積がある。そんな威張ることではないけれど、私の過ごし方はこんな感じだ。まず出来る範囲で気持ちのいいお皿とカトラリーとグラスを用意する。肉屋でステーキ用の肉を1枚だけ買うのはちょっと勇気がいるけど、そこは胸を張ってさらっと。ついでに、これも可能な範囲で自分が美味しそうと思えるワインも。肉を丁寧に焼いたら、ジョン・レノンのHappy Christmasを聴きながら食べる。もちろんワインも一緒に。1980年以降、12月の上旬にジョン・レノンを聴くようになったので、そこで一度クリスマス気分になってしまって、どうも本番は二番煎じ?な感じがしてしまうのは私だけだろうか?食事が済んだら、木箱に入ったワイルドターキーを開けて、それをゆっくり飲みながらカポーティの「クリスマスの思い出」を読む。That's all ! それだけだ。ベタだけれど、一つ一つをきちんとやればそれなりにクリスマス気分を味わえる。のではないかと思う、I hope…。
 人は生きているうちに何度クリスマスを過ごすのだろう?記憶に残る楽しいクリスマスもあれば、思い出したくもない冴えないクリスマスもあるだろう。クリスチャンでもないのにとか野暮なことは言うまい。年末にお楽しみが一つあって、それが終わったら心静かに(とは限らないけれど)新年を迎える、そういう日本でいいではないか。一つだけあるとすれば、せめてその夜一晩だけでも、世界中の人たちが心穏やかに過ごせればと願う。願うこと、祈ることが何になるのか?無力も感じるけれど、それ位しか出来ないので祈る。ジョンは毎年War is overと歌っているのだけれど…。

 すべての人に Happy Christmas 🎵
 皆さま、どうぞよいクリスマスを! 


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