見出し画像

#18’ 待ち合わせ('23.5.29)

 映画のような夢を見た。私は観ている人で、登場人物は私が知っている(という設定の)人たち。長いストーリーが終わったら、いつの間にか私は広い草原に腰をおろしていて、何故かは分からないけれど、やがてそこにあの娘がやってくることを知っていた。10代の頃のような、ちょっと甘く切ない気持ちで目覚めた。
 2カ月ぶりに私用で東京に来た。まずはお昼に娘たちと待ち合わせ。まだ少し早いので、住宅地の中にある公園で時間調整中。土曜日の午前、草地にシートを敷いたりして、みんな思い思いに初夏の陽ざしを楽しんでいる。端の木陰からホルンを練習する音が聞こえてくる。聴いたことのあるメロディー、モーツァルトのホルン協奏曲か!こっちではもう夾竹桃が咲いているんだな…。
 夕方、指定された本屋の前に行くと、古い友人が一人。しばらく状況を伝え合っていたけれど、他のメンバーが来ない。おかしいなと思った頃、店の中から一人出てきて、暑いからみんな中で待っているという。付いていくと、一番手前の新刊本の島を取り囲むように還暦おじさんの一団。怪しすぎる、というかお店に迷惑だろうこれ!早々に立ち去る。
 待ち合わせはいい。これから楽しい時間が始まるというワクワクしかない。昔、市ヶ谷のお堀端で待ち合わせの時間つぶしをしていたことがある。ちょうど今位の季節の夕方で、燕が水面を切るように飛んでいたっけ。その頃は毎日残業続きだったから、定時で退社してくる人たちの流れを新鮮な気持ちで眺めた。でも今日は大丈夫、自分も直帰でこれから待ち合わせの場所に行くところだ。こんな満ち足りた幸せな時間て他にそうない。そう言えば、あの時も待ち合わせは本屋の前で、たしか2年ぶりに出た「窯変源氏物語」の新巻を読みながら待っていたんだったな。
 結局、週末は久しぶりに喉が涸れるほど飲んで話した。ガラガラ声が怪しまれるといけないので、今週は調子が戻るまでマスクをしていよう。もうすぐ梅雨入りの便りが届いてくる頃、皆さんもどうぞよい待ち合わせを!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?