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文月葉月のGet Back

 カレンダーは文月から葉月に。と言っても、旧暦ではこれからようやく文月になるところなんだけど。暑い夜に窓を開けて横になっていると、聞こえてくる音の主役がいつの間にか蛙から蟋蟀に変わっていることに気付く。日中にはミンミン蝉も鳴き始めた。季節は少しずつ、でも確実に進んでいる。
 先日、ちょっとした必要があって、セール最終日にfireタブレットを買ってディズニー+に加入した。そう言えばGet Backってディズニー+の独占配信だったなと思い出して、検索してみたらあった(今頃?)。2時間位の映画のつもりで見始めたら、3パートあって計8時間!部分的にしか入らない字幕も英語ですぐ消える。世界同時配信で日本語版は無いのか、これ途中で挫折した人結構いたかも。(私は会話が理解できないまま視聴)
 そうか、これは映画Let It Be用のデータをリマスターした長編ドキュメンタリーなのだな。映画を観たのはもう半世紀前だけれど、時々見覚えのあるシーンが出てきて、前半には解散前のギクシャクした雰囲気が漂っている。正直、YOKOの存在に違和感があって、後半には他のメンバーのパートナーも映ってるけど、みんなちょっとスタジオに遊びにきましたって感じなのに比べて、YOKOは何となく保護者がずうっと職場にいるみたいな雰囲気。Johnがそれを求めたのだろうし、I Me Mineで二人が踊るシーンはやっぱり素敵だったけれど…。結局、解散は4人のライフステージがいつの間にか変わっていたっていうことなのかな。
 その場で披露されたイメージやコード進行が、少しずつ肉付けされて曲に仕上がっていく様子は面白かった。最初はこんなアレンジだったのか!とか、(映像で見るから)このイントロはマーチンで弾いてたんだな!とか。後年発表されるAnother DayやJealous Guyを既に演っていたり、練習や録音の合間に膨大な遊びの時間があって、と言うか、膨大な遊びの中からある瞬間にキラっとした何かが生まれてくるような感じ。後半にBilly Prestonのキーボードが入って、音に新しい色彩が加わるのも鮮やかだったなあ。それにしても、みんながずうっと(演奏中まで!)煙草を吸っていてびっくり。自分も昔そういう環境にいたのに、今から見るとほんと隔世の感。
 突然屋上で演奏が始まって、苦情を受けてやってきた若い警察官に対応するロードマネージャーのマル。彼は、Maxwell's Silver Hammerでは楽しそうにハンマーを叩いていたけど、ここでのらりくらりと時間稼ぎをする様は、まるで勧進帳を読み上げる弁慶のようだ。職務に忠実でニコリともしない警察官もいい。ひょっとしてこの警察官も実はビートルズのファンで、50年後にGet Backを観ながら、「おじいちゃんは目の前でこの演奏を聴いたんだよ」って孫に話してたりして。

 

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