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#39' 猛暑日の夜に('23.8.2)

 暑い!とにかく暑い!ずっと猛暑日が続いている。そもそも、気象庁が最高気温35℃以上の日を猛暑日と定義したのは2007年で、それまでは30℃以上の真夏日しかなかった。それで事足りていたわけで、かわいそうに真夏日は横綱から大関に降格されたようなものだ(大関から関脇への降格はあっても、横綱の降格はないんだけど…)。子供時代を思い返してみても、30℃を越えれば立派な夏の日で、31℃や32℃はあっても33℃というのはあまり覚えがない。当時から既に半世紀、50年も経てば気候も少しは変わろうってもんなのかもしれない。
 ということで、毎日寝苦しい夜が続いている。エアコンを付ければいいじゃないかという話だが、リビングや子供部屋にはあるのに寝室には無いのが我が家のエアコンというものだ。以前は窓を開けておけば何とかなったのだが、最近は全く風のない日が増えてきた気がする。扇風機で温風をかき回しながら、修行のような夜を過ごす。心頭滅却すれば火もまた涼し!いやいや無理無理、やっぱり暑いものは暑い。
 いつもはCDの3曲目くらいで眠くなるのに、最後まで聴いても眠れない。まあ仕方ない、眠れないのは寝なくても大丈夫ということだ。折角だから夏の夜を楽しもうと頭を切り替える。確か、夏の夜用に編集したCDがあったはずだ。作ったのは10年位前だったと思うけど、ということは当時から暑くて眠れない夜があったということか。何を入れたかはもう忘れてしまったけれど、間違いなく入っているのはマイルス・デイヴィスのSomeday My Prince Will Come。あのクールなトランペットの音は、確実に心感温度を1,2℃下げてくれるはずだ。
 CDを見つけて聴いてみるとなかなかいい。当時はこういうのを聴いてたんだなあと思い出す。最後まで聴いてしまったけれどまだ眠れない。聴き終わって、あれ?あの曲が入ってないなと気付いた。しばらく聴いてないけど、あの曲を聴くと二十歳の夏に旅した北海道を思い出す。青空の下、牧草地の柵沿いに細い砂利道がゆったりとうねりながらどこまでも続いていた。野宿から目覚めて一人でそこを歩いていたら、何故だかふっと「自分一人なら何とでもなるかあ…」という思いが浮かんできた。あの曲、何と言ったっけなあ…? そうだ!井上陽水の結詞!
 
 浅き夢 淡き恋 遠き道 青き空
 今日をかけめぐるも 立ち止まるも
 青き青き空の下の出来事

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