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短篇「君を見つけてしまった」1~8-2

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どこか一人で生きてますって感じの女の子との冬の出会い。サンタさんのソリと追いかけっこするようにクリスマスイブに向かってゆきます。
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#詩のようなもの

短篇「君を見つけてしまった」8-1/8

 ⁑ 8-1 ⁑  電車の中で、暗い車窓に今日のいろいろなことを映し出していた。  彼女の話し方、彼女の笑い声、彼女の反応、その一つ一つが不思議に僕を包んだ。けれど、幸福感の隙間にふっと浮かぶのは彼女の語る様々なエピソードの信憑性。  もしかしたら、と僕は唐突に思い当たる。彼女の話は話しているというよりは、むしろ書いているという作業に近いのではないかと。だから文節は長いし、助詞は几帳面に言いなおされる。話のすじが時間を追って変化するのだって、より珍しい話に昇華させるためともい

短篇「君を見つけてしまった」8-2/8ああ、やっと完結編

 ⁑ 8-2/8 ⁑  僕は町中の雑貨店をまわった。  彼女に贈る最初のクリスマスプレゼントはオルゴールしかないとひらめいていたから。小さな、どこへでも持ち運べる音楽の入れ物だ。  ウインドーから覗いた小さな店の小さなウインドーにコンパクトみたいなのを見つけて入ってみた。やはりオルゴールだった。  青地に赤の模様がはいっていて彼女にぴったりだ。問題は同じものが二つあって、それぞれの曲が違うこと。どちらもチャイコフスキーのくるみ割り人形で、行進曲と金平糖の精の踊りだった。店の人