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階段から落ちて骨折した

不幸というものは突然起こるものだ。俺はただ、休みを満喫しようと町へ遊びに出ただけなのに。

スマホ見ながら階段を下りていたら足を滑らせた。咄嗟にもう片方の足を落ちる先へ踏ん張ったら変な音がして踊場へ倒れ込んだ。その瞬間足に激痛が走った。明らかに足の形がおかしい。そして中で骨が動いてるのが分かった。救急車を呼んでもらいすぐに病院へ。運ばれる間の振動がまじできつかった。揺れるたびに骨がずれて激痛だった。
救急隊員が
『ズボン脱げますか?』
といってきた

無理に決まってるだろ

俺が恐怖におびえた猫のように首を横に振ると
『じゃあ脱がせますね』
といってズボンを降ろした。折れている部分を通過するとき悟空が猿人化したベジータに締め付けられている時のような声を出した。

本当にシャレにならない。
病院に着くと様々な検査をした。まずはレントゲン。これが一番痛かった。足の体制を変えなきゃいけないのだが、そのときに骨が中で動く。そのたびに俺は悟空になった。
次にCTスキャン。これは寝てるだけだったから耐えた。
心電図。部屋が狭くて俺を運んでいるベッドを頭から入室するか足から入室するかでもたついてて、その時に何度も振動して悟空になった。

検査結果は脛骨骨折。脛の骨の太いほうがぽっきり折れていた。そりゃそう。ここから手術の説明を受ける。
足を切り開いて折れた脛骨の中心に特殊な棒を入れて固定するらしい。
全身麻酔で。

全身麻酔。よく手術で聞く言葉である。深く眠らせ、痛みを感じずに手術をしてもらうことができる。
しかし、全身麻酔にはそれに付随してくるとても恐ろしいものがあることを俺は知っていた。

『もしかして、尿道カテーテルいれるんですか?』

『そうですね☆入れますよ☆』

俺は絶望した。

尿道カテーテル。

全身麻酔をするとおしっこが垂れ流しになっちゃう☆じゃあ尿道に管を通して漏れないようにしちゃおう☆
という狂気じみたものである。経験者数名からは聞いた話によると、それを引っこ抜くときにこの世のものとは思えないほどの激痛がチンチーノに走るのだという。また、そのあとの排尿でも同等の激痛が走るらしいのだ。

手術の内容を一通り聞き、さっそく明日執刀するらしい。
入院手続きを取り病棟に移った。
足は固定されていたがちょっと動かすと激痛が走る。一生痛い。ちょうどいい体制が見つからない。尿道カテーテルが怖すぎる。
結局一睡もできなかった。

朝になると手術の準備やらなにやらでいろんな機材を付けられた。俺の周りには看護師さんがたくさんいた。ハーレムである。
まずパンツを専用のものに履き替えなければいけない。そんなことできるわけない。
すると奇麗な看護師さんが
『はーい☆じゃあ脱がせますね~☆』
と俺のパンツを脱がせた。美女の前で露になる朽ち果ててしまった俺のデスブリンガー。よく周りを見ると看護師さんがみんな可愛い。(マスク補正がかかっているかもしれないが)
くぅ~!俺のデスブリンガーをなめるなよおおおお!!!
こんにゃくゼリーが少しプルンとしただけだった。ついでに足の骨が動いて激痛が走り悟空になった。

よくドラマで見る動くベッド(ストレッチャーって言うらしい)にのせられ手術室へ。ドラマとかで見るまんまの入り口だった。

こうなると俺も死を覚悟した。ああ、今から魔改造されてノームになっちゃうんだな…


いろんな管つけられてるし…

まずは手術台へ移った。そしてあらかじめ腕に刺してある点滴で麻酔。それが効いてきたら背中に針を刺されてなんかやってる。痛くはないけどめちゃくちゃ気持ち悪い。それが刺さったら麻酔担当の人が
『140mlおねがいします』
といったのが聞こえた10秒後

手術が終わっていて、病室だった。時間の感覚で言うと瞬き一回分。いつ気を失ったかもわからない。ただただ一瞬だった。

担当医が自信満々に
『いやぁ~めっちゃうまくいったよ~』
と笑顔で話しかけてきた。
なんか怖い。

そしておれの元デスブリンガー、現こんにゃくゼリーに違和感。そう。

尿道カテーテルが刺さっていた

俺のデスブリンガーがノームにされちまった…意識がはっきりしていくにつれ体の感じが分かってきた。
足の折れている部分はそんなに痛くなくて、切り開いたであろうお皿の部分がひりひりした。最初よりはだいぶマシである。なんか腰が痛い。5時間同じ体制で起立したときのよう。この腰の痛さがしんどかった。いい体制が見つからなくて全然治まらない。手術した足との兼ね合いも取れなくて、一晩中苦しんだ。

ほとんど眠れないまま朝になった。また奇麗な看護師さんがやってきて
『体拭きますね~』
といって全身を拭き始めた。そしてその手はデスブリンガーに。おいおいAVじゃねぇかよ。そう思うかもしれない。だが現実はそんなに甘くない。少しでも反応しようものなら激痛が走り、また、看護師さんもすごいしごき方をする。シャレにならない。俺は悟空になった。
しかし看護師さんはすごいな…たくさん給料もらってほしい。

しばらくすると主治医が来て
『大丈夫そうだね。カテーテル取っちゃおうか。もうとっちゃって』
といきなり死刑宣告してきた。
美人の看護師さんが俺にゆっくりと近づいてくる。
や…やめろ!やめろおおおおおおお!!!!

プリっ

と抜けた。その瞬間俺のデスブリンガーは今までに味わったことのない激痛。なんかずーっとしょんべんが垂れ流しになっている間隔。漏らしてないよ。深ーいところでジンジンしてる。この世の終わり。
『今膀胱が空っぽだから、数時間したらおしっこ出してね☆』
といって去って行った。
まだ痛いのが待ってるのかよ…今度はしょんべんするときにあの激痛が走るのか?恐怖しかない。怖すぎて朝飯が食べられなかった。

するとこんどは違う先生が来た。リハビリ担当らしい。車いすのチュートリアルをしてくれた。これは簡単ですぐに乗り移れた。足もそんなに痛くない。これで俺は自由だ。
『じゃあ、おしっこしたくなったら自分で行ってみてね☆』
この病院の先生たちなんかみんな怖い。全部語尾に☆がついてくる。

数時間後、その時が来た。行きたくないから我慢しようと思ったけど、そもそもなんか膀胱が痛い。我慢なんかしたら死ぬ。俺はハンターハンターのリールベルトのごとく車いすを走らせトイレに行った。

便座に座り、いざ。

じゅぼぼぼぼぼぼぼ!

と空気と一緒に尿が出た。今までの人生でそんな音したことない。空気が混じってる。その気泡が尿道を刺激してめちゃくちゃ痛い。
痛いが、カテーテルを抜いたときほどではなかった。

今すべてが終わった。俺は足を折り、デスブリンガーを美女に見られ、いじられ、カテーテルを入れられ、そして抜かれた。

地獄だった。

だが今は腰の痛みはなくなり、足が痛いだけ。今後は安静にして回復を待つだけだ。

俺が経営する雀荘、麻雀Quasarは俺無しでGWを乗り切らなければいけない。本当にすまない。が、心配もしていない。あいつらマジで優秀すぎるから。

俺にできることは病室からお客さんを呼ぶことだけだ。この記事がおもしろいと思った方。ぜひ麻雀Quasarに遊びに来てほしい。

そして、この事件が起こるきっかけとなったのはもすうといううちでバイトをしている男だ。こいつが愚かなお金の使い方をしていたので見かねて町へ繰り出し階段から落ちたのだ。俺が落ちたお店は川崎の…おっとこれ以上はお店に来てもすう君から聞いてみてくれ。

それではみんな。スマホをいじりながら階段を降りるだけでこんなにも恐ろしい地獄を味わうことになる。絶対にやるんじゃないぞ!

他にもクソくだらない記事を書いているのでよろしければもう一本いかが?


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