(詩)誕生

音がどこからやってくるか
知っているかい
色がどこからやってくるか

風、水、土

におい
女の子の手の感触
にんじんの甘い味

街灯の光、電車の光
夜行列車の流れ去る光
飛行機のライト、夜の空港
潮騒を照らす港の灯り
遠ざかる船

さようならという言葉は
光でできている
好きとか愛していると同じ
成分でできている

ありがとうと
同じ意味を持つ

今ぼくたちは別れ
きみはもう
会えないから
かなしいと言う

けれどぼくたちは
みんな
光の中から生まれた

夜空にまたたく
星のかけらから
また清らかな森の
木漏れ陽の陰から

あるいは冬の
たそがれの陽に溶けてゆく
雪だるまの
最後のひとしずくから

会いたければいつも
ぼくは光の中にいる

ほら、なにも知らずに
ほほえんでいる
赤ん坊のうぶげと
遊んでいる

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