マガジンのカバー画像

(詩集)きみの夢に届くまで

195
詩の数が多いので、厳選しました。っても多い?
運営しているクリエイター

#銀河

(詩)きみの夢に届くまで

この夜の何処かで 今もきみが眠っているなら この夜の何処かに 今きみはひとりぼっち 寒そうに身を隠しているから 今宵も降り頻る銀河の雨の中を 宛てもなくさがしている 今もこの夜の都会の片隅 ネオンの雨にずぶ濡れに打たれながら 膝抱えさがしているのは きみの夢 幾数千万の人波に紛れながら 路上に落ちた夢の欠片掻き集め きみの笑い顔を作って 都会に零れ落ちた涙の欠片の中に きみの涙を見つけ出せば 今も夢の中で俺をさがし求める きみの姿が見えるから この夜の何処かに 今もきみが

(詩)銀河の雨が降る夜に

空き缶乗せたリヤカー曳いたおやじが 公園のベンチでしけもくに火を点け 青い空を見上げる頃 おれは息が詰まるネクタイ締めて ラッシュの電車の中に 閉じ込められている 人身事故かなんかで 電車が5分止まったくらいで いらいらしかめっ面で ぶつくさ言っている おれの遅れた分の給料どうしてくれる 重要な会議があるんだぞ 遅れたら責任とってくれるんだろうな、って 電車のドアに蹴りを入れる頃 リヤカーのおやじは せっせとごみ収集場で空き缶を探しながら そこに捨てられた子猫を見つけ 自

(詩)銀河の扉

この夜のどこかに きみがいるなら 確かにこの夜のどこかの場所で 今もきみが ぼくを待っていてくれるなら そして今はまだ ぼくが生きていることさえ知らず ただぼんやりと遠い星を見上げ ひとりの夜を抱きしめているのなら いくせんの夜を越え いく数千の夜のやみの扉を ひとつ、またひとつ 諦めることなくたたいてゆくよ 銀河の星のひとつひとつを 旅するように たとえ無限のとしつきを費やしても ぼくはきみを見つけ出すから どんな小さな星 どんな小さな一粒の涙のかけらも 見逃すこと

(詩)長距離トラックの運ちゃんと

なんやラヴホテルの すりガラスの窓に ぽつぽつ赤い光が映って それが映っては消え さっきから映っては消え、するんで ふしぎに思おて おまえから離れ 窓を開けてみたんや そしたらそれは たいしたことない 目の前の高速道路を 走り去る車のライトに すぎなかったんや なんや流星かなんか、か思おたのに そしたらそん時 一台の長距離トラックの運ちゃんと 目と目がおうたんや あっちはあっちで チカチカまぶしい ラヴホテルのネオンながめ 今頃ええことやりやがって、なんて 思いながら

(詩)見上げてごらん

ぼくの瞳に 銀河が映っている きみの瞳にも おんなじ銀河が映っているよ だから 銀河の星たちの瞳にも ぼくたちは仲良しに 映っているだろうか 銀河の星たちは いつまでもどこまでも ずっとぼくたちが 仲良しでいると 信じていてくれるだろうか いつまでもどこまでも ぼくたちが仲良しだったことを 覚えていてくれるだろうか そしてぼくたちが 仲良しのままいなくなったことを 知らないでいて くれるだろうか 今夜も犬小屋の屋根の上で いつものように スヌーピーとウッドストックが

(詩)祈り

銀河を見たよ 静かな夜明けの街を 夜行列車が走り去る 人はいつ 祈ることをおぼえたか 人はいつ自分以外の生命を 愛することをおぼえたか 銀河を見たよ わたしのために 祈るあなたのひとみの中に 子どもたちの夢をのせて 静かな夜明けの街を 今夜行列車が 銀河へと帰っていったよ

(詩)夜行列車

はじめて この星に降り立った時に 乗っていた夜行列車は 銀河系を越えてやってきた 銀河の長い長いトンネル 幾数千万の星屑 生命ねむる銀河の海の底に たえまなく続く こどう、またこどう 夜のしおざいの中に 揺られながら はじめてこの星の プラットホームに 降り立ったあの日 わたしがそれまで 果てしない旅の間 腰をおろしていた あの夜行列車の 窓辺とシートに わたしが 忘れてきてしまったものは 忘れてきてしまったものを もう思い出せない そして この星に降り立った瞬間

(詩)見えないシート

ぼくの窓から銀河が見える きみの窓からも あの銀河が見えるかな それなら こんなに遠く離れた きみの窓とぼくの窓も 銀河から見れば 同じ夜行列車の 隣り合うふたつの窓に 見えるだろう だから 遠い昔からぼくたちは 永い永い銀河の旅をしてきた いつでもぼくは目の前に 見えないとうめいな きみのシートを感じながら いつもひとりぼっち 夜行列車の窓を流れ去る 銀河をながめていた ためいき、つきながら 駅に停車した 列車のドアが開いては また閉じて 乗ってくる人波の中に きみ