「リサイクル」
先日、友人の部屋の大掃除を手伝った。というよりむしろ私が率先して掃除を行った。脱ぎ散らかした洋服やらAmazonの段ボールやらで山積みのその部屋は、床が見えないほどかなり深刻な状態だった。
友人は仕事熱心かつ毎日終電が当たり前というハードな生活を送っているため、多少部屋が汚いのは仕方がない。ただ、あまりにも部屋がぐちゃぐちゃだと、せっかく家に帰ってきても心がリラックスできないだろうと思い、休日を返上して半ば強引に2人で掃除することにしたのだ。
友人の机には空のペットボトルが散乱していた。「このペットボトルたち、全部空だから捨てとくね?」と私が確認すると、友人は慌てて「あ、ごめんごめん自分で捨てます!」と言い、私の手元から大量のペットボトルを回収した。こんな調子で、わぁわぁ言いながら掃除と整理整頓を進めていた。開封すらされていない段ボールを開封し、その段ボールを解体しながら、ふと別の棚を見ると、なんとそこには先ほどゴミ箱へ送られたはずのペットボトル達が再び並べられていたのだ。なるほど、友人の部屋からゴミが減らない訳だと私は妙に納得してしまった。ちなみに同様の事案がその後何度も起きた。
「結婚の前に同棲をするべきだ」とか「同棲で相手と自分の生活観をすり合わせる必要がある」とかよく耳にするが、その通りなのかもしれないとその瞬間思ってしまった。幸い、私はそこまで几帳面な性格ではない。むしろ大雑把。典型的なO型である。だが、日々他人と生活空間を共にするとなった場合、話は別なのかもしれない。そんなことを考えながら、夢中で大掃除した。驚くほど広くなった部屋に友人も大変満足そうだった。
数日後、用事があって再び友人の部屋へ訪れると、一緒に捨てたはずの大容量ゴミ袋が再び部屋の真ん中で転がり、捨てたはずの洋服達が放り出されていた。
2023.11.24