神々のブーイング

自宅療養55日目。4:30起床。様々な災難が襲いかかる。神は乗り越えられない試練は与えないというが本当だろうか。後ろはなるべく振り返らず、首を装具で固定して前しか見ないと決めているのにこの仕打ちとは。お前が刺激を望んでいるから、とっておきの劇薬を与えてやったのだと神々がブーイングしてるようだ。

その状況が起きた時の頭で考えても解決しない、とはアインシュタインの言葉だったろうか。なので今日は現実逃避をする。問題を一日だけ先延ばしさせていただく。誰に対して言ってるのかわからないが、こうやってスマホに文字を打ち込むだけでも気は紛れる。

✴︎

煙草を買いにコンビニへ。足の具合が良いので、初めて杖なしで行ってみる。足をかばうと左右に揺れる。ペンギンみたいな歩き方だがそれでもOKだ。何とか進める。ついでにドラッグストアで少し食材を買う。レジのおばちゃんが、足良くなりましたねー、と声をかけてくれる。家にいると声を発しないので、外に出たときくらいは話したい。

ポストを覗くと本が3冊届いていた。

『青い夢の女』ジャン=ピエール・ガッテーニョ
『アポカリプス・ベイビー』ヴィルジニー・デパント
『キングコング・セオリー』ヴィルジニー・デパント

『青い夢の女』はべネックスで映画化している。ふと観たいと思ったが、サブスクには無くDVDを買うしかない。うちにはTVもプレイヤーも無い。Macは液晶が割れていて使えない。しょうがないので、せめて原作だけでも読みたいと思って購入。

デパントの2冊は前に図書館で借りたけど、読み切れず返却したので購入。あと3作邦訳が出ているので、少しづつ買い集めていく。彼女は映画の監督もしていて、『ベーゼ・モア』『嫉妬』の2作を偏愛している。とにかくぶっ飛んでて過激。逆説的に元気が出る。

✴︎

私はブスの側から書いている。ブスのために、ババアのために、男みたいな女のために、不感症の女、セックスの対象にならない女の子、ヒステリーの女、バカな女、「いい女」市場から排除されたすべての女たちのために。最初にはっきりさせておく。私はなにひとつ謝る気はない。泣き言を言う気もない。自分の居場所を誰かと交換するつもりもない。ヴィルジニー・デパントであることは、他のなによりおろしろいことだと思うから。

『キングコング・セオリー』(ヴィルジニー・デパント)は書き出しから過激だ。いきなり喧嘩を売っている。訳者後書きによると、独自のフェミニズム理論を語る自伝的なエッセイとのこと。歯に絹着せぬ口語体でゴリゴリ詰め寄ってきそうな感じなので、振り落とされないよう食らいついていきたい。

✴︎

悲劇的なことを想像する。題材は何でもいい。大事故、恋人に降りかかったトラブル、道に迷って泣いている子供、有名アーティストのライブで音が出ないトラブルが発生するなど。そしてそのトラブルを自分がサッと解決する。そんな妄想。

これが何十年も途切れずにある。ふといま思い出した。誰かに話したことは無いと思う。調べても同じような書き込みは見つけられなかった。実際の自分をより大きく見せるという『誇大妄想』の一種か、それとも通常の想像の範囲なのか不安になる。

誇大妄想であれば双極性障害や統合失調症の可能性があるらしい。自分としては誰に迷惑もかけておらず、また、悲劇のヒロインに浸って自分が苦しくなるような妄想でもないので、放っているが、何かの病気のシグナルならば、その病名を知りたい。もしかしたら自覚できてない症状があり、それが知らぬ間に自分を苦しめている可能性があるかもしれない。

✴︎

自分について考えれば考えるほどわからなくなる。全て知ることが善だとは思わないが、もう少し付き合いやすい人間になってほしい。それともそう思うことは、自分、他人問わず、コントロールしたいと思うことなのか。よくわからない。

これもいま思っているだけで、後ですっかり忘れてしまうのだろう。だから書いておく。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?