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戦争責任とは何か

戦争責任と戦争犯罪の違いについて


 犯罪
とは現代においては、法に対する逸脱、侵犯である。
共有された規範に逸脱したことで賠償や処罰が発生し、それらを負わねばならないという状況を言う。とりあえずは法に対する応答でるある。

 では、責任とは何か。生起した結果に対する因果の原因を発生させた主体であるという指名である。特に近代において人間の主体概念が確立し、法的概念が発達してきたところから形成された意識であると言っても良いかもしれない。主体は自由で判断力がある限り起こしたことに対する責任がある という形を取る。しかし、係争関係に入る前では、責任があるから即 罪があるということではない。何を起こしたのかという検証が法との対照で炙り出されねばならない。

では、戦争責任、戦争犯罪というときなにがちがうのか。

 後者は、上に述べたように、国際法などで規定された さまざまな人権に付随する権利に対する侵犯、あるいは、そこから導き出され具体化された捕虜の取り扱いなど、戦時における振る舞い方の逸脱である。戦争犯罪というときは、侵略戦争を開始したことに対する罪である。

 難しいのは、戦争責任 という言葉である。この言葉は、一度 罪の概念から切り離して捉えた方がわかりやすい。
罪として考えれば、戦争犯罪と同一となる。戦争で罪を伴うのは侵略戦争までである。
世界に共有される人類の価値獲得概念は、戦争一般をつまり非戦を破ったものを有責、犯罪とするというところまで進んでないのである。
では戦争責任と言う言葉の意味は何か。それは非戦に向けて、我々がさらにして行かねばならぬことを概念化し積み上げていくと言う戦争後を含んだ作業を指すのである。

以上、一気に抽象化したが、歴史的叙述で列挙すれば
第一次世界大戦における戦争犯罪
平和条約以降の国際法の進展の歴史
ドイツと日本における戦争裁判で何が問われたのか
戦後に残された戦争の受け止め
特に戦争を放棄した日本国憲法という存在
などの研究が、 戦争責任という言葉の曖昧さの由来を解き明かすであろう。

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