八月の路上に捨てる 伊藤たかみ
アルバイトで街の路上販売機のドリンクをトラックに乗って補充して周る青年。彼は、音楽で食べていこうとしていた。トラックを運転する仕事の相棒は年上の子持ち独り身の逞しい女。女は今日が最後の仕事。再婚を考えている相手と今夜は子供を含めた食事会があり、仕事をはやく終わらそうとしている。かたや青年は学生時代同級生だった妻と離婚することになっている。女に離婚となった成り行きを尋ねられながら、そうなった成り行き、妻との思い出が綴られる。学生時代の夢と訣別できず、夢亡き生活に乗り換えてゆくことができずやはり精神のバランスをとり損ねてゆく妻。夢から逸脱してゆく自分を少し自堕落に見つめる男。一つの恋愛の成り行きの話。
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