10/24
新卒のころ、毎日がしんどかった。朝起きるのも、朝日を浴びた電車に揺られるのも、乗り換えの駅の喧騒も。
会社に行って仕事をして、逃げるように家に帰った。夜や休みに友人と会うのだけが楽しみだったが、いつしかそれも面倒になった。一生こんな日々が続くことに諦めを感じていた。そんな頃の。誰も自分に見向きもしない、そう思い込んでいたあの頃を思い出す。
『JOKER Folie à Deux』を観た。
あまりDC界隈には詳しくないことが功を奏したのか、JOKER像に悩むことはなく素直に受け入れることができた。
前作の堕ちていく様とはまた違う、重く苦しい二時間半だった。どこにも行き場も理解者もいないと思う日々が、訪れるこれからが今日と何ら変わりはしないと悟った虚しさが、空想の中でしか心を曝け出せない孤独が、どうしようもなく突き刺さって抜けてくれない棘のように。いつかに置いてきた筈の感情がドアをノックした。そんな気分で観た。
エンドロールで流れるシナトラの『That's life』が皮肉のように響くのがまた切ない。これが人生、と嘯くしかない哀しさに満ちている。オーラスを飾るダニエルジョンストンも良い。箱庭で無邪気に愛を育てたミュージシャンの心情がアーサーと重なる。
退屈な瞬間もあった。でも間違いなく前作と合わせて印象的な作品だった。
こういう感情に会えるから、映画を観るのは好きだ。単純な面白い面白くないという軸だけでは測れないものがある。
真新しい自分にも、懐かしい自分にも会える。
今回はどちらだっただろうか。
人生にはジョーカーがあるという。であるならば、それを次に引くのはもしかしたら、なんて。
妄想が伝播する。
また書く。