夢の職業に就けたって満ち足りるわけじゃない

小学4年生の頃、将来の夢を書くという課題に私は「ゲームプログラマ」と書いた。
今、その夢は叶い、ゲームプログラマとして5年も働かせてもらえている。一般的に、子供の頃夢見た職業にそのまま就ける人は少ないだろう。そういう視点で見れば、相当恵まれた人生を送れているのだろう。
しかし、最近は「物足りない」「もっと面白いことがしたい」といった渇望に苛まれている。思うように仕事が出来ず、プライベートも充実せず。鬱々とした気分が続いている。

子供の頃夢見た「ゲームプログラマ」は、どんな問題でも解決できてしまう「スーパーハッカー」的な存在だった。
大学に進学しそこでプログラムの勉強をして、そんなスーパースターは世にはほとんどおらず、世のプログラマの多くは、地道にコツコツと問題解決しているのだと知った。なので「スーパーハッカー」なんて非現実的なものは諦めた。誰も解いたことのない問題を解くような「スター」にはなれなくても、みんなから頼りにされる「スペシャリスト」を目指すことにしたのだ。

今、そんな「スペシャリスト」になれる未来すら見いだせていない。

会社にいる「スペシャリスト」には技術力で追いつけそうもない。コミュニケーションが下手だから、そういう人たちと仲良くなって学ばせてもらうなんてことも出来ていない。だから一人で己を鍛えるしかないのだが、そんな忍耐力はない。

今は日々与えられた仕事をこなすだけ。あの頃夢見たゲーム開発の現場にいるのに。「ゲームプログラマになる」という夢を叶えた先は、現場で輝く人たちと比較しての劣等感ばかりで埋め尽くされてしまった。

これからそんな自分を変えていけるだろうか。
1年後、3年後、10年後。この文章を見返して「これだけ落ち込んでいた時期もあったな」と笑えるような未来であってほしい。

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