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無理にどうにかしようとしない
ゴールデンウィークの連休に、わたしはどうしても地元に帰りたかった。地元を離れたばかりだったわたしは、どうしても友だちに会いたかった。
当時、わたしの実家は複雑な問題を抱えていて、のんびり帰省できるような状況ではなかった。今は帰ってこないでと家族に反対された。
とは言えゴールデンウィーク価格のホテルに滞在できる余裕もなかったわたしは、反対を押し切って実家に帰った。
結果、わたしの帰省をきっかけに家族関係がさらに悪化して、問題はもっと大きくなってしまった。
予定どおり幾人かの友だちには会えたけれど、とても手放しで楽しめるような心境ではなかった。無理にどうにかしようとすると、たいていものごとは上手くいかない。
思い返してみれば、あの時わたしを突き動かしたのは恐れだった。
このタイミングを逃したら、次はいつ帰れるかわからない。会わない時間が長く続けば、みんなわたしのことなど忘れてしまうかもしれない。
一時は毎日のように顔を突き合わせていた友人たちと、距離ができるのがこわかった。ひとりになるのがこわかった。
あれから何年も時間が流れて、ただでさえ仕事結婚育児など、状況もさまざまで忙しい年ごろだから、やっぱり疎遠になってしまった関係も多い。
でもその中で、数は多くないけれど不思議と続いている関係がある。無理に会おうとしなくても、たくさんの偶然が重なって、ふいに出会えることがある。一年に一度とか、数年に一度とか、そのくらいの頻度でも、会えばくだらないことで笑いあえる。明日からもまたがんばろうとおもえる。
途切れてしまった関係が、思いがけず再開することもある。もちろん新しい出会いだってある。
だれかとの関係を維持したいなら、ある程度の努力は必要だ。でも振り返ってみれば、どうしたって残るものは残るし、終わるものは終わるのだなあともおもう。だから無理に繋ぎ止めようと、がんばりすぎる必要はない。
人間関係だけじゃない。無理になにかを押し進めようとするとき、純粋な好奇心だとか喜びに突き動かされてのことならば、そのまま進めばいいとおもう。たとえ結果が伴わなくても、得られるものがあるとおもう。
でも、根底にあるのが不安や焦り、恐れなのだと気づいたら、いったん立ち止まってみるのがいいとおもう。
すべては流れていくものだから、抗わずに身を任せる。ゆるゆる流されていったその先で、会いたかったあの人と再会できるかもしれないし、時には一気にビューンと流されて、想像もしていなかった景色が見れるかもしれない。
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