漫才 : M-1グランプリ2020を見て

皆さん、こんばんは。
翔平です。
お久しぶりです。

しばらく投稿していませんでしたが先日M-1グランプリも終わったことなので記事を書きたいと思います。

ご存じの方も多いと思いますが僕はお笑いが大好きです。特に賞レース系は好きで、中でもM-1グランプリは特に好きです。お笑い賞レースの中でも格が違いますからね。

今まではTwitterにて短文で速報寸評なることもしてきましたが、せっかくnoteしているので、少々遅いですが今回はこちらで僕なりの寸評をしていきたいと思います。本当なら敗者復活戦から全てといきたいところですが、あまりにも長くなるので決勝10組を順に書いていこうと思います。

①インディアンス

敗者復活戦から見事決勝に駆け上がってきたインディアンス。屋外からいきなりのトップバッターという例のない出番でしたが、そこはさすがに劇場の切込隊長、復活した勢いそのままに駆け抜けてくれました。昨年は田渕君がネタを飛ばしてキム君もカバーできないまま終わってしまいましたが、今年は特に緊張もなく、普段のインディアンスが存分に出せたんではないでしょうか。ネタ自体はネタ番組や劇場でもよくやってる昔悪かったネタでしたが、特にキム君のツッコミ、田渕君のボケを引き出す力は昨年よりも全然上手いです。アドリブを上手く挟んでいるように見せるような表現力(実際は全部台本通り)は流石の一言に尽きます。トップということもあって点数自体は伸びませんでしたが、見事に会場を暖めてくれたと思います。個人的には、東京ダイナマイトオマージュ「目覚まし時計じゃ、ないんだぜ」を入れてくれたことに感動しました。

②東京ホテイソン

備中神楽のツッコミを武器にする若手有望株。Twitterで相方を見つけたなんてのも現代っぽいですよね。ネタが始まる前までは、正直彼らには期待していませんでした。若いながら現在の形が数年前から完成されてしまって、伸び代を感じられなかったからです。昨年敗者復活戦で見た時も、今後も準決勝止まりかなと思って見ていました。しかし今回、僕の中で1番驚かされたのがこのホテイソン。びっくりするくらいの成長を見せてくれていました。備中神楽ツッコミの形に囚われていたたけるに幅が出ており、またショーゴもしっかり表現の強いボケに生まれ変わっていて、たけるのテンションに合ってきていました。たけるのツッコミ前の間や最後の無言ツッコミなんかは最たる点です。あのツッコミを活かすショーゴのワードセンス溢れるネタも見事でした。個人的にはもっと点数が伸びると思ったんですが、審査員にはいまいちハマらなかったようです。この悔しさを糧に来年以降も頑張ってほしいですね。

③ニューヨーク

2年連続の決勝進出。今年はキングオブコントでも準優勝としっかり結果を残してM-1に乗り込んできました。「because we can」が流れる前に屋敷が歩き出してしまい、センターマイク前で数秒待ってしまうミスはありましたが特に影響はなし。掴みボケの早さ&その掴みボケをそのまま導入に使う手法はありそうでなかった形で◎。昨年と違いしっかりしゃべくり漫才で勝負してきました。非常に面白く仕上がってはいましたが、他の組よりも短めのネタ時間だったことを考えると、もうあと2個ほどボケを詰め込めば、笑いを稼げたんではないかと思います。とはいえ昨年よりも自分たちに合ったネタ作りができていて、非常に良かったと思います。バラエティ慣れしてきて、平場の絡みも面白くこなしてましたね。

④見取り図

今回の、いや数年前からの僕の推しコンビ。3年連続の決勝は今回の出場者の中では最長です。2年前はトップバッターだったことも響いて9位、昨年は完成度の高いネタだったものの点数インフレの煽りを受けて5位。今年はどうなることかと心配していましたが、さすがは大阪の劇場番長。昨年以上に自分たちのカラーを見せつけてくれました。過去2年と変えて今年は漫才コントで勝負。途中リリーが盛大に噛みましたがそこはさすがの見取り図、崩れることなく最後までやり切りました。昨年もそうですがこのコンビは本当に噛みミスからのリカバリーが上手いです。リリーの扮する変人に他にない声質の盛山のツッコミ。数年かけて洗練されてきています。現代大阪芸人の漫才らしい伏線回収の巧みさも光りました。この時点でのトップを獲得も納得の出来でした。点数が出た瞬間、堪えられずにテレビの前で思わず泣いてしまいました…。

⑤おいでやすこが

ピン芸人同士の異色のコンビ。おいでやすおだはR-1、こがけんは細かすぎて伝わらないモノマネ選手権の常連と2人とも腕は確かですが、見るまでは正直どんな化学反応が起きるのか分かりませんでした。しかし蓋を開けてみれば、お互いの歌唱ボケと大声ツッコミを見事に噛み合わせたこれまでにないスタイルの漫才が出来上がっていました。おいでやすのローテンションからいきなり沸点まで持っていくツッコミは、だんだん強くなっていく漫才のツッコミには見られない形で非常に新鮮でしたし、こがけんの歌ボケと見事にマッチしていました。最終的にファーストラウンド1位を獲得。納得の面白さでした。

⑥マヂカルラブリー

3年ぶり2度目の決勝。前回はネタよりも上沼恵美子怒られ枠で話題になってしまいました。野田がR-1優勝するなど、満を持しての決勝返り咲きです。フレンチのネタで、マヂラブのネタにしては比較的会話のラリーが多めの漫才型で勝負。最初の大ボケで一気呵成に爆笑を起こして最後のスベり笑い風のボケまでの温度差を巧みに使って会場を沸かせていました。漫才ではない論争はあると思いますが、野田と村上はあくまで違う空間同士で掛け合いを行なっているので、コントのような同空間で2人が役になりきる形とも違うので、これは変則的ではあるものの立派に「漫才」と言っていいでしょう。スーパーマラドーナや霜降り明星もこの形に近いですよね。この時点での2位を獲得。納得の出来でした。

⑦オズワルド

西の推しが見取り図ならば東の推しはこちらのオズワルド。2年連続の決勝進出。今年はABCお笑いグランプリでコウテイに惜敗するも準優勝と結果を残して乗り込んできました。ツッコミの伊藤の妹は、最近大活躍中の女優、伊藤沙莉さんなのも有名ですよね。昨年の先輩ネタはゆったり静かなボケとツッコミのラリーから最後に伊藤が激情して大声でツッコミを入れる形でしたが、今年の改名ネタは序盤から伊藤が大きい声でのツッコミ比率を増やし、さらにその大きさにも強弱を持たせるなど大きく工夫してきました。ボケの畠中も昨年よりも淡々とボケを繰り出せる形が、伊藤との対比を生み出していて非常に面白かったです。「雑魚寿司」や「激キモ通訳」みたいなパワーワードも効いていました。今回の出場者の中ではしゃべりの力は彼らがピカイチだったと思います。642点でニューヨークと同点も最終決戦には残れず。来年も期待の大きいコンビです。

⑧アキナ

4年ぶり2回目の決勝。過去にはTHE MANZAI 2014で3位になるなど実力は抜群。ただ全体としてテンションの上げ方があまり上手くないのでそこだけが懸念材料でした。正直今回はマヂカルラブリーの直後で割りを食った感もありましたが、ネタ全体として本来のアキナがやるには合ってないネタのチョイスだったとしか言えません。2人とも技術は高いですし、採点後の恥ずかしいトークでいい感じに沸かせるなど見せ場は作れていたので、また来年以降に期待したいです。

⑨錦鯉

初の決勝進出。過去にないほどの高齢コンビ。ボケのまさのりさんは来年で50歳です。パチンコ台になりたいという女性や子供の食いつきの弱そうな題材でしたが、まさのりさんのバカバカし過ぎるボケやギャグに、渡辺の冷静ながらとことんボケに乗っかっていくツッコミのリズムの良さで見るもの全てを惹きつけてくれました。やっていること自体は古典的なものが多かったですが、渡辺のツッコミが非常に巧みで、笑いの大きさを何倍にもしていました。レーズンパンギャグの被せも、観客の待ってましたと言いたい声が聞こえてくるかの如く湧いていましたね。最終結果は4位でしたが、しっかりインパクトを残してくれたので、来年以降も元気に出場してほしいですね。

⑩ウエストランド

初の決勝進出。おそらくタイタン所属としても決勝は初めてだったと思います。数年前から彼らを知っていますが、彼らが決勝に残った時点で上位はないと思っていました。基本的にはツッコミ井口の1人しゃべり、皮肉と毒と例えで河本に返していくスタイルです。以前は例えをぐちゃぐちゃに詰め込みすぎてイマイチ笑いどころの掴めない状態でした。今回は全体的に分かりやすい皮肉と毒を振り撒くスタイルになっていて、以前までよりは良かったですが、ちょっと河本も緊張なのか辿々しい感じになっていました。個人的にスタイル的にウーマンラッシュアワーを思い出させてしまいあまり好きなタイプではないので、まぁこんなもんでしょうね、って言う感想しかありません。

最終決戦①見取り図

ファーストラウンドと変えて地元でマウントを取り合うしゃべくり漫才にシフトチェンジ。1本目と変化をつけてくるあたりはよくM-1を勉強しているな、といったところでしょうか。リリーの「地獄に堕ちるわよ」パンチなんかは最高でしたね。今やおなじみ「てか◯◯って何ー!」もしっかり入れてきました。漫才コントもしゃべくりもこなせる器用さも見せてくれて、この時点でいけるんじゃないかと思っていました。

最終決戦②マヂカルラブリー

1本目よりも野田の会話の少ない吊り革ネタ。身体で表現するボケは下手に話すより分かりやすくて破壊力のあるボケになっていました。村上のツッコミも的確で、野田の動きを解説しつつしっかりツッコミになっていました。正直いかれたな…と思ってしまうくらい面白かったです。

最終決戦③おいでやすこが

見取り図と違って1本目との差異を明確にできませんでした。見たことのないスタイルのため、1本目のインパクトは強いですが、目の慣れた2本目は同じことや似たようなことでは爆発が弱くなってしまいます。2008年のオードリーが同じ形で優勝を逃しました。ここは即席コンビの脆さというか、歴の浅さがバリエーションの少なさに直結してしまった感じですね。

ということで以上が寸評となります。最終結果は3票獲得でマヂカルラブリーの優勝。僅差ではありましたがしっかりと勝ち切りました。昨年の大会が神回と言われるほど素晴らしくレベルの高い大会になっていたこともあって、本命不在と言われた今回の出場者は相当プレッシャーだったと思いますが、蓋を開けてみれば昨年に負けないくらい良い大会となりました。厳しい世界情勢の中で無事にここまでやり遂げてくれた出場者の芸人さんや番組スタッフに心から感謝したいです。

マヂカルラブリー、本当に優勝おめでとう!!

それでは…

(スキしてくれると尻尾振って喜びます)

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