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物流要求仕様書の書き方

今回は物流要求仕様書についてまとめて行きたいと思います。

見積もりはメールや電話で輸送業者に依頼するだけで特に仕様書を作っていない人、何を書いたらいいか分からない人が多いと思います。しかし、お互いの認識違いでトラブルになる事もよく見かけます。これを防止するためにも参考になればと思います。

それでは要求仕様書について解説していきます。


仕様書のメリット


要求仕様書なんて必要なの?面倒だ!と思うかもしれませんが組織として物流を管理するのであれば書面があって損はありません。

要求仕様書のメリットは以下の通りです。

  • 定型フォーム化で業務の簡素化

  • 要求忘れ防止

  • 引き継ぎの簡易化

  • 要求事項の明確化による誤手配防止

  • トラブル時の責任範囲の明確化

  • 物流ポリシーの明確化

フォーム化しておく事で依頼忘れ防止や引き継ぎにも役立つでしょう。一度作ってしまえばその後は変更箇所のみ書き換えるだけで業務の簡素化にも繋がります。最初は面倒でも新しい案件も一から作るより遥かに楽になります。

物流要求仕様書の見本

ドキュメント体系


仕様書の前に全体のドキュメント体系を整理します。物流管理に必要な書類は以下の通りです。

  1. 契約書

  2. 基本要求仕様書

  3. 個別要求仕様書

  4. 見積書

  5. 協定単価表

  6. 包括or個別依頼票/出荷指示書

  7. 送り状

  8. 請求書

  9. 支払伝票

全ての案件にこの書類達をフルセットにするのは困難ですので、案件の内容や重要度に応じて準備するといいでしょう。

記載事項


輸送を例にすると、仕様書への記載内容は以下の事項を網羅すれば良いでしょう。

  1. 目的

  2. 業務範囲

  3. 受取場所、納入場所(輸出者名、輸入者名、担当者名、連絡先等含む)

  4. 製品情報

  5. 梱包サイズ・重量

  6. 物量

  7. 輸送方法、出荷予定、頻度、計画

  8. 引渡条件、輸送条件、付保条件

  9. 見積期限

掻い摘んで解説すると、2.業務範囲は委託する業務の範囲の明確化です。単なるトラック手配なのか、付随業務があるのか明確にしましょう。3.当たり前ですが出荷場所と納入場所の名称、住所等の情報は必要です。4.の製品情報も重要で規制に該当しないか確認してもらうためにも詳細に記載しましょう。

6.7.はどの程度の量、予定、頻度で出荷されるのかを明確にします。量と頻度が多いほど安価な提案が貰えます。ただし予定と異なる量しか出荷されないとトラブルの元ですので精度高く記載しましょう。

8.は車上受け、タームなどを明確化します。事後の付帯作業の追加もよくあるトラブルです。荷主は見積もりで予算を組んでしまった。輸送業者側はそんな作業は聞いていない。と対立することになります。

また保険を誰が掛けるのかも明確化しておいた方がトラブルは少ないです。

これらが明確になっていれば見積精度が上がり、変更があった場合にも仕様書が準拠で議論できると思います。

基本要求仕様書


要求仕様書は見積りの都度作成ですが、普遍的に一律で要求したい場合は基本要求仕様書を作成し個別仕様書にこの基本要求仕様書の番号を読み込む事をおすすめします。

事故対策など細かな要求や請求処理の注意事項などは要求内容は変わらない筈です。これを都度の仕様書に記載していては大変ですので、基本要求仕様に網羅し、全パートナーに展開しておけば良いです。法令改正で一律に対応して欲しい事も基本要求仕様書に反映しておくべきです。

改訂時に全ての物流パートナーへ展開を忘れない様に注意して下さい。

まとめ


要求仕様書について、いかがでしたか?
もし整備が進んでいなければ、これを機会に要求仕様書を作成してみて下さい。

最初は不十分でも、トラブルを重ねる度に内容が濃くなり、自分達の物流ポリシーが明確になる筈です。

もちろん一方的に強制は出来ませんのでパートナーから提案出来る余地を残す事も大切です。この要求仕様書が物流パートナーとの議論のベースになる事を期待しています。パートナーと良い信頼関係を築いて、より良い物流を目指して欲しいと思います。なお要求仕様書のサンプルはこちらからダウンロードできますのでご活用ください。

以上、今回はここまで。
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