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縦横無尽完結編 on birthday 感想

日本全国縦横無尽ツアーではセットリストになかった曲が、宮本浩次縦横無尽完結編 on birthday で披露されたので、ここではその歌われた曲を中心に感想を書きたいと思います。

「あなた」
カバー曲。この “あなた“ は亡くなっている人なんじゃないかと宮本さんがどこかで分析してたけど(出典不明。すみません)、もう失われてしまった、絶対に手の届かないものへの渇望、恋焦がれる想いを歌わせたら最強なんじゃないかと思う。曲後半、何度も “あなた“ と呼ぶ声にぎゅっと胸を締め付けられます。こんなにも想いが、感情がのる声に。よく行間を読むというけれど、宮本さんの歌う、この ”あなた” の3語に込められた想いの深さに想像をかき立てられます。

「just do it」
アルバム縦横無尽の収録曲のうち、ツアーのセットリストになかった1曲。他の曲は48公演をやっていくうちにどんどん精錬されていった感じなんですけど、比較するとやはり少し荒削りな感じが残る気がします。ヘッドバンキングする曲なのでそれはそれでライブ感があってよかったかなあと思います。個人的には小さい箱で聴いてみたいかな。

「東京協奏曲」
これもアルバム縦横無尽にあって、ツアーのセットリストになかった1曲。カバー曲を除いて、宮本さんが他者の作詞作曲で歌ったのは「獣ゆく細道」「明日以外すべて燃やせ」と「東京協奏曲」の3曲だけれど(ここではエレファントカシマシの楽曲は一旦置いておく)、前2曲がいわゆる当て書きのような、宮本さんの思想まで含めたその在り方、”宮本さんであること” を中心に歌にしている(と思う)のに対して、この曲は純粋に楽曲の美しさを宮本さんの声で表現するということに重点があるように感じます。もちろん宮本さんの声域にも合わせて作られているかと思いますけど、宮本さん自身も一歩後ろに下がって曲の世界を声によって表現することに集中しているような気がします。例えるなら、プロのモデルが服に着られることも服を着ることもせず、服を ”みせる” ことに徹しているような。そのせいかどうか、聴いているときにどこが桜井さんのパートだったかほんとうにわからなかったです。東京で聴けて嬉しかった。

「昇る太陽」
この曲も他の精錬された曲に比べて荒削りだけれども、むしろこの歌の世界はそうしたライブの剥き出し感がすごく合っていると思う。宮本さんの剥き出しの感情が you! you! you! のところに出ていて。ここで自分を指差しているんですよね。これも行間を読むじゃないけど、you に込めた想いが強くて深い。完結編の2公演だけなのが惜しい。あと個人的に、ガーデンシアターでの演出映像が使われていて生で見られてちょっと感動しました。去年のガーデンシアターのバースデーライブほんっとに行きたかったから。

番外編1「きみに会いたい」
出だしのアレンジがツアーと違っていたので取り上げます。楽曲のかっこよさよりも、歌詞の描く物語を前面に出した感じがしました。この曲は聴くたびに違う印象を受けるんですけど、この時はすごく、大人っぽいというか、宮本さんの実年齢ままの、大人の恋という感じでした。もともと高橋一生さんのために書かれたものなので、宮本さんの年齢よりもちょっと若い男性のイメージがあったんですよね。コンサートでは宮本さんがもどかしそうにバッとジャケットを脱ぐ仕草がめちゃくちゃカッコよかったです。はやる気持ちを抑えられない、というふうに。

番外編2「rain-愛だけを信じて-」
これもやはり触れずにはいられない演出があったので。2階後方からだと映像に見えたんです。スクリーンに映し出された宮本さんに水滴が落ちているのを見て初めて気づいたんですよね。12日に行ったんですけど、この日はなぜか雨とか水に縁があって。ちょうど会場までの通り道にあったので、日比谷公園をちょっと散歩してたら(もちろん野音を横目に眺めつつ)すごい晴れてたのに突然雨が降ってきて。それが代々木へ移動してコンサート開場時間くらいになるとぴたっと止んで。これはさすがになんか不思議でした。この演出で雨の野音を思い出した人が多かったようですが。

感動を忘れないうちに文にまとめてみました。縦横無尽ツアー感想から書いてきてこれで完結です。これまではコンサートが終わってもしあわせな気持ちが続いていたけれど、今はどうしようもなく寂しい気持ちだったから。文章にできてよかった。

そして改めて。

日本全国縦横無尽ツアー完走おめでとう!

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