見出し画像

気まずい話

私は、父方からも母方からも外孫で。
祖父母と一緒に暮らした経験はない。

幼い頃は、父方へ行けば顔形が母方に似ていると言われ
母方と会えば父方の血だと言われた。
当たり前だ、私は父と母のちょうど半分ずつでできている。

とくに母方の祖父母は遠方に住んでいて、数えるほどしか対面していない。
これは私が小学校高学年の頃、母方の実家を訪ねたときのこと。

数年ぶりに会う祖父母も親戚も、車で観光に連れて行ってくれたり、美味しいごちそうを沢山用意してくれたりと手厚くもてなしてくれた。
年の近いイトコもいて滞在中はとても楽しく過ごした。

とある日、とある場所への車移動中。
後部座席には年下イトコのAちゃん、おばあちゃん、私が座っていた。

どんな話の脈絡だったかは覚えていないけれど、Aちゃんが突然言った。
「ねぇ、ばっちゃん!Aちゃんとイマちゃん(私)、どっちが好きなの?」

いつも愛情を独り占めしていたおばあちゃんが、久しぶりに会った私のことをかまうことにAちゃんは少しヤキモチを焼いたのだろう。

「Aちゃんのことが、いっちばん好きだよ。」
と、おばあちゃんは答えた。

私はというと、
顔を思いっきり窓の外の方に向けて会話を聞いてはいない、
もしくは関心のないふりでやり過ごした。

別に傷ついたわけではなくて。
ただただ気まずかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?