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CSO型データアナリストというキャリア

こんにちは。
ミラティブの分析部部長の坂本です。

ここ数年、データ分析のキャリアや職責について様々なところで議論がされています。たとえば、TJOさんのブログでは、データ分析のキャリアの先には、generalなロールのシニアポジションがあるのではないかと言及されています。

つまり、データ分析人材のキャリアが積み上がっていった先にあるのは、それぞれが身を置く業界・分野におけるよりgeneralなロールのシニアポジションへの移行ではないか、ということです。

下記ブログから引用

私が長く身をおいているスタートアップ界隈において、その目指すべきロールの一つがCSOなのではないか?と思い、CSO型データアナリストという言葉を作ってみました。

CSOとはなにか

CSOとは、Chief Strategy Officerの略で、最高戦略責任者という意味です。経営メンバーのなかで、戦略を担当する役員です。具体的には、経営の意思決定を早く、確実にするための役割をおいます。

CSO型アナリストとは、プロダクトチームの中でCSOのような役割を担当し、プロダクト上の意思決定を早く確実にするために邁進します。つまり、その会社のミニCSOとしての役割です。(ちなみに、PdMはミニCEOと呼ばれることもありますね)

CSO型アナリストとはなにか。

CSO型アナリストとCSOの仕事内容を並べてみました。こうやって見ると、CSOの対象が会社経営、CSO型アナリストの対象がプロダクトやチームという違いがありますが、もっているマインドや役割は同じものであるということがわかってもらえますでしょうか?

CSO型アナリストの職務イメージ(CSOとの比較)

それぞれ詳しく見てみます。

達成したいこと・役割

CSO型アナリストが達成したいことは「プロダクト・チーム」の成功です。つまり、成果や評価もこれで測られるべきだと考えています。例えば、すごく詳細な分析をしたけどチームを成功に導けなければ、(きつい言葉ですが)アナリストがいる意味がないです。逆に手を動かした時間が少なくとも、チームの成功を導けたならそれは成果です。

つまり、CSO型のアナリストは、「いまチームがどんな意思決定をしたいか、そのためにはどんな分析(定量分析に限らず)をどんな時間軸で提供すればよいか」ということを元に動きます。

やること

実際にやることにおいても、CSOの考え方とよく似ています。要は、

  • 自分自身が意思決定のボトルネックにならないようにする

  • データ・ユーザーの海に潜り、新たな示唆を発見したり仮説を検証したりする

この2つを徹底的に行います。前者はKPIの設定だったり、LookerやTableauなどのBIの提供だったりします。ここで重要なのは、KPIを作るだけ、ダッシュボードを作るだけでは意味がありません。それらを活用して、チームの意思決定が確度高くなる・早まることが重要です。

たとえば、KPIに名前をつけてチームに定着させることなんかも時には重要な役割だと考えています。例えばfreeeではプロダクトの価値を表すKPIをマジ価値KPIと名前をつけています。

2019年度freee決算資料より引用

この思考は単に「データ分析の職責」と考えているとなかなか出てこない発想で、やはり「チームの成果を分析で最大化させる」と考えるCSO型のアナリストだからこそでてくる発想かと思います。
このあたりの細かいTipsは今後noteでも公開していこうかなと思います。


また、後者の「データ・ユーザーの海に潜り、新たな示唆を発見したり仮説を検証したりする」ということですが、重要なのは潜るべきことや収集するべき情報はデータに限らないということです。たとえば、

  • 自分でもプロダクトを触りまくり、その中で肌感や仮説を得る

  • ユーザーさんとお話することで、定性的な仮説を得る・検証する

といったことも重要です。つまり、データだけではなく、戦略や意思決定にかかわる情報は何でもあつめて分析するという考え方です。このあたりのTipsも今後noteで書いていこうかなと思います。

アナリストとしての専門性

ではCSO型アナリストの専門性はなんなのか?ということなのですが、私は、分析の引き出しの多さが専門性だと思っています。

もちろん、データを扱う仕事である以上、BigQueryなどを使ってビッグデータをうまく扱えるということは前提ではあります。しかしながら、状況状況において、「この課題は回帰分析でうまく結論出せるのではないか」であったり、「時系列データA, Bを並べることでうまく表現できるな」であったりそういう引き出しの多さが重要だと考えています。

どのような分析をするかという引き出しの多さ、可視化の引き出しの多さ、知っているツールの引き出しの多さ(回帰分析をするならPythonでゴリゴリ書くもよし、BQMLを使うもよし、AutoMLを使うもよし)といった、分析における様々な武器の多さこそが専門性につながると考えています。

これは業界ごとに異なり、時系列解析や生存分析が重要な業界もあれば、ネットワーク分析や行動経済学などが重要な業界もありますね。ちなみに私が所属しているミラティブでは、効果検証のための回帰分析、ネットワーク分析やOR理論などが重要な分析領域になっています。(この辺はコミュニティサイエンスという言葉でまとめているのでそちらもnoteにする予定です)

また、なにかの分析手法に固執することなく、広く感度を持ちつつ、自分たちが直面しているビジネスにおいて必要な分析手法について広くアンテナを立てて置く必要があります。これはCSOが常に自分たちに必要な経営手法について日々アンテナを立てているのと同じです。

データコンサルとの違い

ここでデータコンサルとの違いをまとめておきます。データコンサルは基本的には発注者からの「悩み」を聞き出し、その原因解消や課題解決を行うことが多いです。そしてその発注者が分析結果を検収することで、成果として認められます。
一方、CSO型のアナリストは、誰かに悩み発注されることなく(もちろん対話の中から自然発生的に悩みを聞いていることもありますが)、自ら課題を考えて分析の手を動かすことが求められます。また、分析によってどれだけチームの意思決定の質やスピードが上がったのかということが成果として評価されます。
なので、CSO型アナリストは「他に知りたいことあります?」や「今週暇でやることがない」などと発言することはありません。そういう場合には、「もしこういうデータがでたらこの件意思決定できますっけ?」という議論展開を促してみたり、「時間ができたからチームの意思決定のプロセスや結果を見直して改善点を洗い出してみよう」という改善活動に思いを巡らせます。

まとめ

今日はCSO型アナリストという概念について書いてみました。今後はCSO型アナリストx〇〇について色々と書いていきたいと思います。

また、ミラティブではCSO型のアナリストを募集しています。データを中心にしながらも、チームの意思決定を支え、事業を伸ばしていくキーマンになりませんか?


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