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ぬるま湯、万歳!

失恋したとか、仕事でミスをしたとか、そんな時の方が気持ちを文章に乗せやすい気がするなと思った。誰かに対して何かに対して怒っている文章が私は好きだ。フェミニストの書くコラムとかツイートが好きなのもきっとそう。自分の考えをぶちまけるあの勢いとか滲み出る熱量に惹かれる。

この1年間、ずっとぬるま湯にいた。失恋したりもしたけれど、案外けろりとしていて「熱湯にご注意ください」の前を素通りした時くらい。1年、ほんとうに優しい気持ちで過ごした。このままじゃダメになるかもしれないと焦って、平日は会社員しつつ土日はバイトと忙しくしてみた。けれど、心はずっと穏やかで、なんかこう物足りなさみたいなものをずっと感じる日々だった。

絶対に穏やかな方がいいとは思う。ぬるま湯最高じゃないか。温泉に行ってあっついお湯より適温だった時の方が「ああ、ラッキー」って思うし。だけど、なんだろう、お酒飲んでも物足りなかったり、旅行に行ってもため息が出るほどの幸せを感じなかったり。そうか、"愚痴"を聞いてもらうためのお酒が美味しくて、"悩み"がある時に現実逃避できる旅行がよかったのか。最初は熱くて躊躇する湯船も入ってみれば案外だいじょうぶだったりするし、刺すような熱さが心地よかったりもする。

自分の心が動くのって映画か本の中だけだった。誰かが作った嘘の話に泣いたり怒ったりした。一方で主人公(私)の映画は一時停止したままの気がする。トイレ行くために途中で止めてそのままお菓子とか食べちゃって、結局忘れて永遠と「再生中」の欄に残り続ける映画みたいな。嫌だった。しんどかった。だからきちんと再生ボタンを押そうと思う。私はまた恋をすることにしたし、住む場所も仕事も変えることにした。

3年前、東京にいた時に書いた文章をみた。あの頃の私はいつも何かに怒っていたし、悩んでいた。それがいいなと思った。悩んでいた過去のわたしを羨ましく思うなんておかしな話だろうけど、かっこいいなって思った。

どう転ぶかな、人生。どんな続きが待っているのかな、私が主演の映画。

(少し経ってこの文章をみたときに、ばか言ってるな〜って思えますように)


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