マガジンのカバー画像

趣味の話など

12
本の感想、趣味の話まとめ (音楽を除く)。
運営しているクリエイター

記事一覧

2023年、今年出会ってよかった作品

映画『あのこは貴族』  小説も良かった。押し込められてた世界から抜け出して新しい自分に出会いなおしていく感じだった。誰かと連帯すると世界の見え方が変わっていくこともあるんだという希望を感じた。 『PLAN75』  一見、制度として実現しなさそうな設定だけど、この映画を観てから、こういう感覚って実はすでにいろいろなところに根付いてしまっているんじゃないかと怖くなった。「設定」とか「仮定」の話ではなく、実はこの世界と地続きの作品だと思う。 『スパイの妻』  後半で「ハッ」とさ

一言感想メモ (ドラマ・映画)

ドラマ編家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった  父の死、そしてダウン症の弟、不治の病の母を持つ岸本家を描いたドラマ。第1話の最後で「悲劇などとは言わせませんよ」という宣言のようなセリフがある通り、7割くらいはコミカルな作品。シリアスなシーンもあり、コミカルとシリアスのジェットコースターのよう。ただ、作り手側が安全装置をしっかり真摯に考え作ってくれたジェットコースターだと感じたので、頭がクラクラせず楽しめた。弟役はダウン症の俳優が演じていたり、車椅子ユーザーの役

一言感想メモ (ドラマ・音楽)

ドラマ編silent  登場人物のほとんどが根が優しく、ただ不器用な面も持ち合わせていて、視聴者を振り回しすぎない程度に揺さぶってくる。あえてジャンル分けするならば「恋愛ドラマ」だと思うし、公式サイトをパッと見た感じでもそういう印象を持つ。だけれども、最終回まで観た感想としては「人と人との関わり」とか「優しさ」というものが、もっと確かな軸になっていたと思う。そこがとても良かった。  それぞれの思いが行き違ったり、時には衝突しても、「あなたに幸せでいてほしい」という思いを手放

一言感想メモ (映画・本・音楽)

映画編いとみち  言葉が必要なときに言葉が見つからない状態というのが、僕にとってもリアルな話だった。暗い部屋の中で三味線を弾くシーンがたまらなくかっこいいけど、同時になぜか切なかった。同じ店のメンバーや同級生の伊丸岡など、主人公の周りもいいキャラクターが多かった。勝手な思い込みかもしれないけど、三味線ってめっちゃロックかもしれない。 はちどり  「理不尽」がひとつのテーマだと思う。その中で登場する塾の講師のキャラクターが素晴らしくて救いだった。大きな理不尽は勝手に降り注

ひとり映画鑑賞会『青めぐる青』

 最近、Podcast で読書会をしている人たちの配信を聴いて、”読書会”って楽しそうだなぁという憧れを抱いてしまい、自分も似たようなことしてみようかという気持ちになりました。ただ、本についての感想もいいのですが、以前から、「自分が note に書いてる映画の感想って本当にざっくりとしか書いてないし、作品にしっかり向き合ってない気がする……」という罪悪感のようなものがあったので、映画の読み解き(のようなもの)をやってみようと思いました。(ひとりだけど)  今回は初めてという

最近、読んだ本&観た映画 (2023/01)

 最近読んだ本や観た映画の中から2作ずつ選んで、感想を書いておこうと思います。 くるまの娘 / 宇佐見りん  著者のデビュー作『かか』が良かったので、こちらの作品も。不安定な家族に対して同情や怒りがあり、何かに巻き込まれたと思えば少し引いた目線でみていたりと、揺れ動く感情を丁寧に描いているなと思いました。切実なものをできるだけ切実に描こうとしている事がもう既に切実なのかな、というか……。『かか』を読んだ時にも感じたけれど、「その感情をこういう風に表現するんだ……!」という

最近、観た映画 (2022/07)

最近観た映画の個人的感想を綴りたいと思います。 リトル・フォレスト  五十嵐大介さんによる漫画を映画化した作品ということらしいです。映画は、『夏』『秋』『冬』『春』の4部作。東北の小さな集落・小森に住むいち子の生活 (主に食生活) を四季の流れとともに描いた作品。自給自足のような生活をしているいち子の、田畑で米や野菜を育て調理し食べる姿、地元の人との交流などが丁寧に描かれています。栽培・調理における知恵をいち子の言葉で解説するような形で進んでいくので、栽培・調理の経験が少

好きになった作品(音楽・映画・本)~2022年 上半期

 その年の上半期に個人的に好きになった作品を紹介するシリーズ。昨年は音楽限定で紹介をしましたが、今年は映画や本に触れる機会も多かったので、そちらも含めて紹介したいと思います。 ●音楽部門ムーンパレス / RAY  この記事を書こうと決めた数十分後に Lyric Video が配信されるという奇跡にびっくりしています。以前にも少し感想を書いたのですが、サビで旋律が2つに分かれた瞬間の、心が浄化していくようなあの心地よさがこの曲の第一の特徴だと思います。  RAY の楽曲の

想像をやめない世界 ―『新世界より』の感想

この文章について  この文章は2008年に出版され、第29回日本SF大賞を受賞し、のちにアニメ化もされた『新世界より』(著者:貴志祐介) の個人的な感想と考察 (…と呼べるかは微妙) になります。僕は8年前に小説を読み、2年前にアニメを観ました。アニメを完走したとき、「小説を再読しなければならない」という強い思いに駆られたのですが、なんだかんだで2年も間が空いてしまいました。再読することで、あらためて大作・傑作だと感じたのでこの文章を書いています。  物語の核心部分にはで

最近、読んだ本 (2022/01)

 年を越しても読書の習慣が続いているので、再度、最近読んだ本をまとめていきたいと思います。前回同様、感想は一言、二言で留めます。 2021/12/05、12/17、2022/01/03 読了  数年前に古典部シリーズを途中まで読んでいたので、今回はその続きから。内容は、ちょっとほろ苦い行き違いもあり (後半2冊は特に)、数年前にシリーズの前半を読んだときよりも楽しめたと思います。「いまさら翼といわれても」の最後の終わり方がすごく良かったです。 2021/12/10 読了

栞を作ってみた話。

 YouTube で、クリアファイルをブックカバーに変身させる動画を見ていたら、唐突に「栞を作ってみたい!」と思ったので、自作してみました。理由がやや捻くれていることはおいておきます。  作り終えて、イメージしていたものよりいいものが出来たので、制作過程も画像で記録しておけばよかったな、と思ったのですが、それも後の祭り。ただ、なにか特別な工程もないですし、テキストで頑張れるだけ頑張ります。 ●完成したもの 〈用意するもの〉 ・厚紙 ・装飾用の紙 ・紐 ・カッター ・は

読んだ本をまとめて簡単に紹介。

 今年、読んだ本をまとめます。物語の設定と感想を簡単に書こうと思います。本の感想を書くのは苦手なので、本当に一言だけ。 (2021/04/12 読了)  友達のいない少女が様々な過去を持つ女性と出会いながら、「幸せとは?」という問いの答えを考えていくストーリー。4月に読んだので細かいところは覚えていないけど、主人公に自分を重ねながら読んでいたと思います。 (2021/06/01 読了)  学校に居場所がない少女の部屋の鏡が突然に光だし、鏡をくぐった先の城で似た境遇を持