小説 | ならわし (⑦)
夫は夫なりに抱えるものがある、そんなことを感じて、私たちは理解し合えるかもしれないと思い始めていた。
予定日も近づき、段々と増え始めたベビー用品を見ながら、隣で本を読んでいる夫にふと尋ねた。
「ねえ、生まれた子が女の子だったらどうするの?」
私たちの通う産院は、事前に性別を教えてくれない。それもこの家系のしきたりなのだそうだ。私は特にそこは気にしていなかった。むしろ楽しみではあったのだが、ひとりっ子の多い夫の家系で、女の子が生まれた場合、家が途絶えてしまうことをどう思っている