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アルイル x ハブ研究会vol.1

6月はじめの日曜日の夜、れもんハウスにて、「アルイル x ハブ研究会」と題して、「みんなの家リトルハブホーム」の岩崎愛さん(通称もじゃ)と原田梨世さん(ライリー)をゲストにお迎えして、「拠点づくり」をテーマに、互いの活動実践と課題の共有から学びあいました。

研究会第1回目のグラレコ。「リトルハブホーム」の原田梨世さん(通称ライリー)作成。白紙だった模造紙が段々と私たちの声と顔で埋まっていく様子は圧巻でした。

リトハブってどんな団体?

リトルハブホーム(以後「リトハブ」) は、『様々な背景を持つ子どもたちや家庭が地域で安心して過ごせる場作り』を目的に、神奈川県茅ヶ崎市東海岸で活動するサードプレイスです。

リトハブとは
「神奈川県茅ヶ崎市で “小さな拠点(ハブ)が広がれば街全体がひとつ(おおきな)のHomeに“をコンセプトに 「子どもも大人も地域で安心して育ち合う場」として 昔の縁側のあるおばぁちゃんちのような一軒家で 様々な人々との出会いつながり、地域に根差した暮らしを 地域の皆さんと作っていく活動しています。」

リトハブ公式HPより)

どんな会だったの?

ウェルカムドリンク&ご飯タイム

日曜の夕暮れ。れもんハウスの縁側でお靴を脱いで、おうちに上がってきた方々を、頂いた有機れもんで作った、れもんハウス特製れもんシロップの「れもんスカッシュ」、お塩とハーブで漬けた輪切りのれもんを浮かべた、ちょっと大人な「塩れもんサワー」でお出迎え。

れもんハウス特製のれもんなドリンクを振る舞う、青草の原代表の藤田琴子

喉を潤した後は、ご飯タイム。小さな丸テーブルを、初めましての方々と囲み、それぞれ自己紹介をしながら、ご飯を楽しみました。

今回のメニューは、「豚汁」(と豚汁なしバージョンの野菜汁)と「おむすび」

お味噌とお米は、自然農法「無の会」より頂いたものです。とても美味しく、体にも土にもやさしいお味噌とお米をたっぷり頂くことができました。

おむすび山とれもんハウスの「初代イルひと」のまゆこさん

おむすび山は見るだけで、なんだか幸せな気持ちになります。参加者であり、またれもんハウスの「初代イルひと」である、まゆこさんの「対話とご飯で命を労る」という言葉は、こういうことかもしれません。

おむすび山は会話が弾むと同時にすぐに無くなりました。

団体・活動紹介

ご飯を頂いたあとは、「みんなのお家・リトルハブホーム」と「れもんハウス」の紹介タイムがスタート。はじめにリトハブの代表理事もじゃさんより自己紹介を兼ねて、リトハブの想いを共有してくださいました。

青のTシャツがリトハブのもじゃさん

もじゃさんのストーリー

2022年10月にリトハブを開始したもじゃさん。「わたし、旅が好きなんです。いろんなとこ行く度に、日本は豊かな国だなって思う一方、安心して過ごせる場を必要とする子どもたちが増えているのも事実で。マザー・テレサも言っていたけど、日本の心理的貧困は深刻なですよね、本当。」

リトハブを立ち上げる前は、東京で、そのような場づくりをされていて、そこには15歳から20歳までの子どもたちが来ていたそう。「ヤンキー、ギャルな子達がね、いっぱい来てたよね。めちゃめちゃ好き、そんな彼らと一緒に時間過ごすの。彼らにはね、レジリエンスという回復力がすごいあるんですよ」ともじゃさん。

もっとそのような場をつくっていきたいという思いから、茅ヶ崎にご縁があって、リトハブを立ち上げることになったと語ります。

『帰らないんですよ、子どもが。』

茅ヶ崎でリトハブを運営する中で、子どもの支援に関わるいくつかの団体から、このような声を時折聞くことがある、ともじゃさんは言います。「『帰らないんですよ、子どもが。』って言うんですよ。つまりは、その場に来た子どもたちが、時間になってもその場から帰ろうとしない、という状況らしく。今ね、いっぱいいっぱいな家庭も多いけれど、学校や学童、児童相談所とか、みんないっぱいいっぱいなんだと思うんですよね。だから、無理なことを『今は無理』と声に出すことは必要かもしれないとも思うかな。でも、一方で、帰らない子どもはね、子どもが問題ではないんですよ。帰りたくない背景がその子にはある。そのことにもっと目を向けたいですよね。」

だからこそ、「小さな拠点の広がり」がリトハブの目的だ、ともじゃさんは語ります。「小さな拠点が広がれば、一つのホームになるから」と。もじゃさん自身は都会育ちで、この活動を始めるにあたって茅ヶ崎に移住。近所に知り合いがいる安心感や、道端で知り合いにばったり会うことで感じられる温もりの良さを、小さな街だからこその茅ヶ崎で暮らす中で再発見したと言います。

「でも考えてみたら、昔はそうだったじゃないですか、村とか。田舎ではそうですよね。だから、小さな拠点を広げて、一つのホームになってくことは、何も特別なことではなくって。むしろ自然な在り方な感じはしてます。」

ライリーさんのストーリー

ここで、ライリーさんもご自身の紹介と、リトハブが大事にしていることをお話しくださいまいた。

ライリーさんは元々愛知県出身。もじゃさんが理想として描く「おばあちゃん家の縁側」を広げるために、ライリーさんは2020年頃から愛知から茅ヶ崎へ移住。リトハブで子どものサポートをしつつ、教育系NPOのプロマネやグラフィッカーとして全国の対話と共創の場のデザインに携わっています。

「リトハブがベースとして大事にしているのは、繋がりを取り戻すハブ(拠点)を増やすことだと思ってます」とライリーさん。「だから、まずは、一人一人がハブになれるんだ、ということを私は伝えたいです」。

ライリーさん作成のリトハブのビジョンの説明図。ヴィジョン、3つの事業、そして理念(大切にしている価値)がまとめられている。

ディスカッションと全体シェア

お二人の自己紹介と団体紹介ののち、青草の原代表・藤田琴子より、れもんハウスの紹介をし、れもんハウスが取り組みたい課題をシェア。琴子が投げかけた課題は、「どのようにしたら、れもんハウスやリトハブのような、小さな拠点が広がっていけるか」という問い。サードプレイスのような場を作りたいと思って、れもんハウスに足を運んでくださる方々が増える中、その方々が、それぞれの場で実践していけるためには、どのようなことができるだろうか。「その先の一歩」に繋がる道筋とは、どのようなものか。そのような問いに対して、グループごとでアイデアを出して頂き、全体でアイデアを共有する時間を持ちました。最後は、参加者それぞれが、「自分のフィールドでできることは何か」を考え、一言ずつそれぞれが述べて、「アルイルxリトハブ研究会」第1回目は終了。

自分のフィールドでできることのアイデアをシェアする、れもんハウスのショートステイ協力家庭のみかんちゃん

ライリーさんが、「自分のフィールドでできること」を含め、参加者の「声」をグラレコで描き、描いたものを用いながら「ダイジェスト版」として口頭で説明して下さった姿を動画に撮ったので、よろしければ是非、ご覧ください。4分程度でまとめて下さっています。

ひとこと感想。

れもんハウスに関わる魅力の一つは、ここに来たら、普段出会えないような人たちに出会えて、繋がりが広がるということ。初めましての人とご飯を食べ、対話をしながら、最終的には、結局、自分は何ができるかを改めて考えるきっかけを得ました。私自身、今回、特に印象的だった言葉が、ライリーさんの「あなたがハブである」という言葉が心に響きました。拠点というと、フィジカルな「場所」のイメージが強かったのですが、それ以上に、自分自身が誰かと誰かの小さな拠点(ハブ)になって生きること。そんな風に私たちがそれぞれの持ち場で生きることで、小さなハブが点在し、それが一つの大きなホームづくりに繋がるのだと思いました。

大きなホームづくりの一つのピースが、自分であり、あなたであり、私たちは、そんなかけがえの無い存在なのだ

そう感じました。

次回

このアルイル x ハブ研究会は、2〜3ヶ月に一回を目安に実施予定です。今回は定員を上回るほど、多くの方々にご関心をお寄せ頂き、お越しくださったことを心より感謝します。次回もご期待くださいませ。

文責:カナ*
*今年5月から(一社)青草の原のコミュニティデザインのサポートをしています。

「私がハブ。でアル。」