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日本一のプロデューサーから学ぶ一冊「ALL ABOUT TOSHIO SUZUKI」

会ったことないけれど、多大な影響を続けている人がいる。それはジブリの代表取締役兼プロデューサーの鈴木敏夫さん。日本で最も世界に広がった日本のコンテンツはジブリだと思っていて、MATCHAという会社を作る上でのヒントにしています。

鈴木敏夫さんの本は、新しい本が出る度に読んでいます。そこで先日「ALL ABOUT SUZUKI TOSHIO」という本を買いました。288ページで、4000円以上する大作です。毎日仕事終わりに読み続けて、一週間くらいかけて読み終えました。

ジブリというある種、傍からみたら順風満帆に見えて、美しく見えている会社も、幾度もなく危機を乗り越え、とてつもなく泥臭いことの積み重ねをして成り立っている。自分が印象に残った項目をメモしつつ、自分の考えを書くスタイルで書いていきます。


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ジブリの会社名案

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ナウシカ宣伝計画

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映画「もののけ姫」説明資料

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映画を作る工程


編集者型経営者の原点

アニメージュ時代の鈴木敏夫さんの5つの試み
・推し作品を徹底的に応援:ガンダムの一番詳しい情報が載っている
・高畑勲と宮崎駿の世間への認知:才能を世に広げる
・1冊の雑誌から映画が誕生:メディアミックス
・海外の傑作アニメーションの紹介:幅を広げ、知的好奇心を刺激
・社会問題への提言:ジャーナリズムの視点で社会問題を論じる

アニメージュ編集長時代の編集方針
・特定の読者を想像して作る:将来アニメーターを志す若者向けに
・自分たちが勉強したいことを記事に:読者へ親近感を
・現場に入り込んだ取材:記者の立場を越えて相手と付き合う

人材育成
・適性の見極めと組み合わせ:化学反応を起こさせる
・分業せずに最後まで一人で作る:組織を強くするために
・品評会と個人面談:それぞれに記事に自由に感想を言い合う

鈴木敏夫さんのアニメージュ時代、意識していたポイント。どの内容も今のメディア運営に参考になる内容。上記には載せていないけれど、アニメージュ以外の雑誌にジブリ作品を取り上げてもらう際の注意点なども、とてもおもしろかった。ここのでの経験が後のプロデューサーの仕事、宣伝に活きているのを感じる。


鈴木敏夫のプロデュース術

鈴木敏夫のプロデュース術
・予算やスケジュールの管理、宣伝戦略や予告編制作と、プロデューサーの仕事は多岐にわたりますが、鈴木のプロデューサーとしての真骨頂は、自らを「編集者型プロデューサー」と表する監督との向き合い方にあります。鈴木はスタジオジブリ設立前、雑誌編集者として多くの作家と向き合って来ました。クリエイターに問いを投げかけ、アイディアを引き出す。

プロデューサーの仕事
・プロデューサーの仕事は表に出ないところにある
・監督の小学生からの夢を実現した一本
・反対する制作と配給を説得し新たな扉を開いた
・イメージを決定するテーマソングの重要視を証明
・粘り強い交渉で監督が望むキャストを実現
・監督の興味を引き出すために半年費やす
・日本のフラッグ・キャリアを映画製作に巻き込む
・「宣伝するな」をプラスに転じた「宣伝しない宣伝」
・戦闘機が大好きで、戦争が大嫌い。大いなる矛盾を映画に。

映画を制作する
・企画を決める
・賛同を得る
・脚本、内容に一から関わる
・進行を管理する

映画を宣伝する
・宣伝ポスター:映画のイメージをひと目で伝える
・名コピーを生み出す3人の鈴木敏夫:
 ・記者:世界観や設定から説明する。読者を自分ごと化へ。
 ・詩人:ストーリーとは肝けない、時代性やテーマをともなった一行を。
 ・編集者:世界観⇛キャラクター⇛ストーリーの順番で伝える
・内容の分析と把握
・宣伝計画とスケジュール
・広告デザインとコピー
・CM・劇場予告編の制作

模写していて、プロデューサーは経営者だなと思いました。企画(事業)の種となるのを見つけたり、見出したりして、それを元に賛同やお金を集めていく。ビジネスに関しても、どのような根拠で「もののけ姫」に制作費が20億必要で、結果的にどれくらい売上が上がるかを数字ではじき出す。お金が集まったら、更に企画を深堀り、進行管理をし、出来上がった物の本質を理解し、宣伝をする。

後半に改定ある、千と千尋の宣伝方針の話が面白かった。映画の興行収入は、結局の所宣伝費をいくらかけたかに興行成績が比例する。千と千尋はすべてのタイアップや露出で、100億円近くの宣伝費をかけた事になったという。博打のようで博打ではない。不確実性やリスクをとことん排除している。その積み重ねにより、結果として300億を上回る興行収入を上げた。当然作品の質や今までのブランドの積み重ねが生んだものだと思う。


鈴木敏夫と人付き合い

鈴木との事務所「れんが屋」には、毎日多くの人々が集まっています。ソファーにあぐらをかいた鈴木の周りを囲むのは、世代と会社を越えた人々。著名人から大企業の社長、入社数ヶ月の新入社員まで。鈴木がひょんなことで知り合った、映画業界とは縁のない人々が同席していることもしていることも少なくありません。鈴木は、その場にいるすべての参加者に、意見をを求めます。

「自分が出した企画だと、人は120%の力を発揮してくれる。僕は絶対に自分でネタを出さなかった。編集長がネタを出して「やれ」と行ったら、みんながやる気になれないから」

人たらしの天才と言われる鈴木の根本は、ここにあります。「アイディアは一人で生まれない」が鈴木の信条。テーマは方向性は示しますが、自ら頭を空っぽにし、みんなの発言を聞くことに集中します。特に大事にしているのが、まだ経験の少ない、若い世代の意見。

1、2時間時には数時間、参加者の意見を聞いた後、鈴木ははじめて口を開き議論を取りまとめます。みんなの意見の中で最も本質的な言葉を選び出して、さらに磨く。可能な限り、時には夜が明けるまで話し合って、その時間を共有するのです。

鈴木との人付き合いはまさに「人対人」。ジブリにはいわゆる「競合排他」ということばがありません。わけへだてなく、あらゆる世代と、組織を越えた人々と付き合い、アイディアとやる気を引き出す。

自分が理想としていて、無意識に意識していることが書いてありました。世代や会社や組織など関係なく、その「人」と付き合っていく。まだまだ形式に囚われてしまうこともありますが、もっと精進していきたい。

鈴木さんのラジオで印象的だったのが「誰がいったとかどうでもいいじゃん」という言葉。よく自分が思いついたという考えをリーダーが言うけれど、そんなことはどうでもいい。「自分がどうかとか」なんて関係なくて、何を実現したいかに向き合っている人の言葉。

ジブリが世界で広がったポイントの1つもここにあると思っています。

かなりボリュームがある本ですが、コンテンツやプロデューサーという仕事に興味がある人は必読な一冊。

最後まで記事を読んでいだきありがとうございます。毎日更新をしているので、よかったらまた読んでもらえると嬉しいです。