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戦況分析を取り組む意味

ここ最近、毎週土曜日に会社の戦況分析をする時間をしています。戦況分析については以前も書いたのですが、下記の5つのトピックで分析します。5Cと言われるものです。

・Company:自社の理解 
・Customer:消費者の理解
・Competitor:競合他社への理解 
・Customer:流通などの中間顧客の理解 
・Community:ビジネスを取り巻く地域社会の理解 

なぜ戦況分析に取り組む必要があるか?それは自社の限られた資源を使って、目的を達成するためです。一言で言えば、人は知らないものは、扱えない。どれだけ優秀なメンバーやスキルを持っている人がいても、それを知らないかぎりは、存在しないに等しくなります。

今ある資源を有効活用し、目的を達成するためには、上記の理解が必須になります。今回は森岡さんの水色本をベースに、5Cについて掘り下げていきます。自分への理解を深めるのが第一目標なのですが、読んでいる方にも参考になれば嬉しいです。


Company:自社の理解 

己をしっかりと知ることが第一歩になります。そのためには、以下の3つの理解が不可欠です。

1.自社の全体戦略を理解すること。会社全体や上位組織の戦略を理解することは、その後のすべての作業が徒労に終わらないために非常に大切です。会社方針に反した戦略を取ることは、水の流れに逆らって泳ごうとするもの。これは経営サイドの話で言えば、しっかりと全社の方針を伝え、理解してもらうことの重要性とイコールです。

2.自社の使いうる経営資源をできる限り沢山把握すること。どのような能力を持った「人」がどれくらい投入可能化を把握したり、投資できる予算とその承認プロセスや執行パターンを理解することです。また、すでに会社の中に蓄えられているデータなど情報資源の種類を質を理解する等です。知らないものは、存在しないに等しいです。

3.自社の能力や正確としての特徴(強み・弱み)を把握すること。過去にどのようなことをやってきたのか、その際に機能した特徴は何なのかを見ていくことで、自社の強みと弱みが浮かび上がってきます。

総じて言えるのは、上記3つは経営側だけが把握すればいいわけではないこと。全社員が限りなくオープンに情報にアクセスでき、また理解していることが大切になります。自社組織がどんな全体意志があり、どんな経営資源をどれだけ持っていて、何が得意で不得意かを理解していくのがCompanyの分析です。


Consumer:消費者の理解

マーケターの真髄とも言うべき課題です。マーケティングは消費者理解に始まって、消費者理解に終わります。消費者理解では、消費者を量的に理解すること(数値データを用いて広く全体像を理解するのに役立つ)と、消費者を質的に理解すること(質的調査などを通して消費者の深層心理に迫ること)の両方が重要です。

1.量的理解:量的な理解では、消費者のデモグラフィック(年齢、性別、収入などの人口統計的なデータのこと)な理解や、対象商品の世帯浸透率や認知李軼、購入頻度といった購買行動の理解や、主だったブランドへの消費者の認識を理解するのが中心になります。

2.質的理解:良いマーケターは、特定の商材に対しての消費者ニーズの理解に努めるだけでなく、底辺に流れる価値観や悩みはどんなことなのか、常日頃からどんなことに関心を持っているか、別の文脈ではどんな消費行動を取るのか、それはなぜなのか等、人としてのの総合的な質的な理解に努めようとします。患部だけ見るのではなく、総合的な人体として病気を見ようとする医師の姿勢に似ています。

そのために重要なのが消費者の質的な理解です。適切な質的調査を重ねていと消費者のその商品を買う根源的な理由が見えてきます。そのような総合的で深い消費者理解のみから生み出される武器があります。それは「消費者インサイト」といいます。消費者自身が気付いていない隠された真実のことです。ここをマーケターが意図的に衝くと、消費者の心を大きく動かすことができるのです。

自分たちがなぜ存在するか?を考えると、消費者が求めているから、課題を感じているからなんですね。そのために、まず消費者の理解を深く進めることがとても重要です。


Customer:流通などの中間顧客の理解 

流通(トレード)のように自社と消費者の間にいる存在がCustomerです。協同して市場価値を作り上げているパートナー友言えますし、市場価値のパイを奪い合っている競合とも言えます。味方でもあり的でもある中間業者を深く理解しておくことは、「店頭を制する」マーケティングの戦いにおいてもとりわけ重要になります。

その理解のために着眼すべきポイントは、Company(自社の理解)とほぼ重なります。その取引先の戦略(方針や関心事)の理解や、強み、弱みの理解が特に重要になります。明確な戦略なんてそもそもない会社である可能性も想定しておかなければなりません。1社1社の理解も重要ですが、束になった時の業界としての不文律にも留意する必要があります。

MATCHAのようなメディア業の場合は、省庁や自治体や企業をCustomerとして認識し、コミュニケーションをするようにしています。


Competitor:競合他社への理解 

競合他社の理解とは、ライバル社の研究だけをしておけばよいというものではありません。広義においての競合理解までやっておかなければいけないということです。

具体的な例で言うと、USJにとっての狭義の競合他社は、近隣遊園地各社や東京ディズニーリゾートなど、遠方も含む同業他社のことです。USJの代替品になりえる他社をしっかりと理解する必要があります。しかしそれをだけでは不十分です。

それはなにか。テーマパーク・遊園地以外のレジャーもすべて「ストレス解消」という消費者ニーズの土俵で争っている競合です。例えば、水族館、映画館、カラオケ、ボーリングなども競合にあたります。そして広く捉えるならば、スマートフォンも競合になりえる。

上記のように「自ブランドが消費者に提供している価値が何なのか?」を正しく理解していれば、着眼すべき競合の姿は明らかになってきます。


Community:ビジネスを取り巻く地域社会の理解 

社会がビジネスに与える様々な外部要因があります。それをCommunityと言います。代表的なものは、法律などの規制、世論、税率、景気、為替レートなどがあります。このような要素がビジネスに決定的な影響を与える場合は少なくありません。

また、マスメディアよって増幅された世論は、自ブランドへの購買行動に大きな影響を与えます。このような外部要因の多くは、自社でコントロールできるものではありません。大事なことは、自社のビジネスに多大な影響を与えるCommunity要素のドライバーを予め明確にしておくこと、その動静をモニターして変化の兆しに細心の注意を払うことです。

その揺れ幅を予め想定しておいて、吉とすれば何をするか、凶と出れば何をするか、自社でコントロールできる選択オプションを事前に準備しておくことです。

今のご時世だと「コロナ」「各国の関係」「ビザ」「航空業界の動向」が、MATCHA大きなCommunityの要素になります。


最後に

上記の情報を書いていて思ったのは、上記の情報がたった1人が知っていてもダメなんですよね。情報の機密性の段階を作りながらも、働く一人一人が最適に動き、連動するためには、同じ情報を持っている状況を作らなければと強く思いました。

なぜなら、人は知らないことは扱えないからです。知らないことは、存在しないことに等しい。逆を言えば、多くの情報をしっかりと共有してあれば、同じ目線で一緒に前に進みやすくなります。

戦況分析に関しては後1ヶ月ほどで出し切り、全社に共有していく予定です。そして、3ヶ月に1度定期的にレビューし、より強い会社にしていきたいと思います。


続編です。この戦況分析を行いながら、目的⇛WHO⇛WHAT⇛HOWと決めていきます。細かい戦況分析のやり方は、確率思考の戦略論にも書いてあるので、また時間をかけて読み解きたいと思います。

最後まで記事を読んでいだきありがとうございます。毎日更新をしているので、よかったらまた読んでもらえると嬉しいです。