『やりすぎ教育』を書いた武田信子さんが超絶面白かった話
みなさん、こんにちは。淡路島在住のファシリテーター、青木マーキーです。家族会議から国際会議まで、あらゆる会議の進行をするのがお仕事です。実は僕、中三の娘と、小六の息子のパパでもあります。子どもたちが学校にゆくのを毎朝見送っているのですが、ふと「この子たちが育つうえで、ほどよい環境をつくってあげられているのかな」と考えることがあります。
そんなとき、かつて「子どもの遊ぶ権利のための国際会議」でご一緒した武田信子さんが、『やりすぎ教育』という本を出した、というニュースが飛び込んできました。
おお、これは面白そう!と武田さんに連絡して「出版記念イベントで対談でもどうでしょうか?」と声をおかけしたのが5月のこと。のんびり屋さんの僕は、しばらく積ん読してしまい、読み終えたのが8月の夏休みでした。いやぁ、これはいい本だ! いい本だけど、著者の言葉を聞きながら読み進めるともっとよくなるぞ、と思ってたところ、武田さんからもメッセージがあり「やろう、やろう、オンライン・トークイベント」という話に。
思わぬ大反響
そこで、ひょいとFacebookでイベントページを立ち上げたら、さして広報したわけでもないのに、来るわ、来るわの申し込みの嵐。「20〜30人ぐらいで、みんなの顔を見ながら、わいわい意見交換や質疑応答できるトークイベント」をイメージしていた僕は、やりすぎ教育への注目度、すごい!と驚いてしまいました。今、本当に、切実に必要とされているテーマなんだなぁ。
で、蓋を開けてみれば440名の方が「参加します」というボタンを押してくださりました。当時、僕のZoomミーティングの契約は上限が参加者100人(汗!)。こりゃいかんと思って、急きょZoomウエビナーの契約を申し込み、なんとか定員500名の枠を確保しました。
登場からカブリモノ
さて、いよいよ9月1日の19時を迎えます。「では、さっそく武田信子さんに登場してもらいましょー!」というと、冒頭の写真のように、カブリモノをかぶった武田さんが登場。皆で大笑いしてのスタートでした。かわいい人だなぁ。
前半は青木マーキーが聞き手となって、いくつか質問をなげてゆきます。まずはじめにお願いしたのが、自己紹介。
すると「はい、了解しました。じゃあ画面共有しますね」と武田さんが言った直後に、まさかの「ミーティングを退出する」というボタンを押したようで、メインゲスト不在のウエビナーという、氷のような状況にたたき込まれました。心あたたかい参加者が「マーキーが自己紹介をしたら?」と助け船を出してくれたので、あたふた自己紹介をしていたら、戻ってきた武田さんがこんなスライドを共有してくれました。
コスタリカの子どもミュージアムでとった写真がかわいい!なんでも、1年で1ヶ月ぐらいは海外にでかけることが多かったそうで、世界中の教育環境を見て回ってきているようです。うーん、さすが!元・大学教授。見ている世界が広いぜ。
で、続いて出してくれたスライドがこちら。うん、これだけ見ても、もうカオスで、面白すぎる人だということが分かります。
僕はつい、右下の「日本コミュニティ七輪学会」に注目してしまいました。だって「五輪より七輪でほんわか温まろう」なんて、なかなか風刺が効いているじゃないか。この七輪学会は、冒頭のカブリモノを作成した西川正さんがやっているとのこと。僕が出した1冊目の本、実は西川さんにプロデュースしていただいたんですよ。あのときも楽しかったなぁ。そしてあのときもカブリモノ贈ってくれた(笑)
親や先生を責めるのではなく、みんなでつくる
プレイワーカーとかユースワーカーとかソーシャルワーカーとか、コミュニティワーカーが並んだので、つい「ワーカーをいっぱい育てているんですね」というよくわからないツッコミをしてしまった(笑)。でも武田さんはにこやかに「そうですね」と答えつつ「何もしなくても、子ども達が元気になれるような居場所をつくりたい」というお話しが出てきました。「周辺が変われば、私たちは幸せになれるかもしれない」「穴をしゅしゅしゅっとあければ、風が通るかもしれない」という声が、ぽんぽん出てきます。
そんな自己紹介を聞いていると、今回のウエビナーのメインタイトルにもある、この本を出した理由が、だんだん伝わってきました。要は、臨床心理の分野でやってきたような、困っている子ども1人1人のお話しを聞いているだけでは、間に合わない。子どもが苦しんでいる社会の状況、年間500人近い子どもが自殺するほど追い詰めてしまっている教育環境を、みんなで解決したい!という願いがあっての出版とのこと。虐待してしまう親を責めるのでもなく、子どもを追い詰める先生を責めるのでもなく、皆で、社会を変えてゆきたい!という気持ちが伝わってきました。なかなか本を出すのは勇気のいる作業だったようですが、敏腕編集者の方とのやり取りとか、めちゃくちゃ面白い裏話もありました。
もしも学校をつくるとしたら?
つづいて、聞いてみたのが、こんな質問。「もしも武田さんが学校をつくるとしたら、どんなイメージ?」ですね。世界中の教育環境をつぶさに見てきた研究者の答えは「おーーーー、そう来たか!」というものでした。子どもたちが、いろんな大人や、いろんな背景の子どもとふれ合う時間って、本当に大事だな。学校の先生と親としか出会ってないと「かっこいい大人」のモデルを見いだせないかもしれないな、と痛感したしだいです。
あと、子どもが商品化しているよ!というブロイラーの話とか、
ガンジーが100年も前から同じようなことを憂いていたよという話とか
赤ちゃん100人のワークとか(これ、文中に出てきたワークで一番気になっていました。詳しくは『やりすぎ教育』153ページへ)
どれも面白かったのだけど、うーん、僕の文章では、うまく表現しきれません!ともかく、終始、武田信子さんのトークは軽妙で、現状を的確に捉えていて、かつ希望を持たせてもらえるお話しでした。ぜひ、みなさんにも聞いていただきたいと思います。
アーカイブを聞いてみたい方は
この講演会のアーカイブ、カンパを頂いた方に、限定公開で見て頂けます。もし、応援して下さる方がいたら、青木までメッセージください(marky@aokiworks.net)。カンパ送付の方法をお伝えします。超絶面白い武田信子さんのトークをたっぷり2時間楽しめると思います。
追記:今回のカンパは全額、能登半島地震への被災地支援にあてたいと思います
この講演会は、参加費無料・カンパ制で開催しました。経済的に厳しい人は、無料で参加でき、すこしゆとりのある人は、カンパを下さい!というスタイルでの開催でした。カンパ下さった皆様、本当にありがとうございます。これからも面白くて社会をよりよくする企画を考えてゆこうと思います。
僕のいちばんの収穫は?
僕個人の収穫としては、これが大きいですね。プレーパークや、森のようちえんをがんばって運営している仲間達がやっていることは、間違っていないぞ、と感覚的に思っていたのですが、それがなぜ必要なのか?を、はっきり言語化してくれた。うん、これにつきます。
子どもたちが、のびやかに、自分の足で通えて、遊べたり、ゆるっと過ごせる空間があったり、いろんな大人のモデルと触れあえる場所が、少しずつ、増えてゆくとうれしいな。
最後まで、読んでくださり、ありがとうございます。この文章を目にしてくださったあなたも、もしよかったら、力をあわせて、子どもが幸せに生きられる世の中をつくっていきませんか?
追記:NHK朝イチでとりあげられましたね!
2024年1月22日のNHK朝イチで、やりすぎ教育がとりあげられました。すばらしい番組構成でしたね。あらためてアーカイブご覧になりたい方は、ぜひご連絡ください。少額でもけっこうですので、能登半島地震の被災地復興カンパに協力いただいた方にリンクを送付したいと思います。
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