ノーベル経済学賞受賞者の本
自分の学習用にリストを作成しています。ですがこのようなリストが見当たらないのでご参考になる方もあるかと思い公開いたします。
本記事著者の青木は経済学の研究者でも大学で学んだわけでもなく、素人で独学中なため見当違いもある点ご容赦(ご指摘いただくと訂正いたします!)
日本語の本に限定。また、学術書ではなくテキストに近いところから一般向け教養書・入門書かつ手に入りやすそうな本に絞っております。
⚫︎:青木が読んだもの
○:青木が読んでいる・積読のもの
読んだ感想やそこから別途まとめ記事へのリンク等育てていきたいと思います。わ、全然読めてないや
もともと経済学やノーベル経済学賞には興味があったのですが、この動画を見て、あらためて受賞者の著作から学ぼうと書き出しています。経済学のテキストを読めばいいのですが、違う迫り方も良いかなと。
サクっと知りたいならば、ノーベル賞にフォーカスした本ではないですが、現代経済学≒受賞者の業績ですので、
を読むと見通しが良くなるかなと思います。
2023 なぜ男女の賃金に格差があるのか
クラウディア・ゴールディン:労働市場における女性の成果の研究に関する功績
2022 危機と決断
ベン・バーナンキ、ダグラス・W・ダイアモンド、フィリップ・ディビッグ:銀行と金融危機の研究に関する功績
バーナンキにはマクロ経済の教科書等もありますが、これが受賞内容に近いですかね。ダイアモンドとディビッグは邦訳なさそう。
2021 (邦訳なさそう)
デヴィッド・カード:労働経済学への実証的貢献
カードには残念ながら邦訳がないようです。
2021 ⚫︎「ほとんど無害」な計量経済学、 ○インベンス・ルービン 統計的因果推論
ヨシュア・アングリスト、グイド・インベンス:因果関係の分析への方法論的貢献
アングリストの本書は、因果推論を含む計量経済学の代表的なテキストですね。品切れ気味でしたが受賞後安定的に在庫があるようで嬉しいですね。
インベンスの本書は、因果推論のバイブルとなっているようです。2023年に翻訳されました。
因果推論にご興味がある方は、入門書等の関連諸記事としてこちらもご覧ください。
2020 オークション 理論とデザイン、 ⚫︎オークションデザイン
ポール・ミルグロム、ロバート・バトラー・ウィルソン:オークション理論の改良と新しいオークション形式の発明
ミルグロムは『組織の経済学』が有名ですが、受賞理由からすると下記が良いかなと思います。ウィルソンは未邦訳のようです。
より優しい一般向け入門書として、下記もあります。
2019 絶望を希望に変える経済学、貧乏人の経済学、⚫︎政策評価のための因果関係の見つけ方、貧困と闘う知
アビジット・V・バナジー
エスター・デュフロ
マイケル・クレーマー
世界の貧困を改善するための実験的アプローチに関する功績
バナジーとデュフロの本。『絶望を希望に変える経済学』は「エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10」1位ですし、入りやすいかと思います。
デュフロとクレーマーの本。因果推論の1つランダム化比較実験のバイブルです。
デュフロの本。
2018 グリーン経済学、気候カジノ、⚫︎ポール・ローマーと経済成長の謎
ウィリアム・ノードハウス
気候変動を長期的マクロ経済分析に統合した功績
ポール・ローマー
技術革新を長期的マクロ経済分析に統合した功績
ノードハウスの本。
ローマーの著作ではなく、ローマーについての本ですがマクロ経済の歴史とローマーの業績をわかりやすく解説しています。
2017 NUDGE 実践 行動経済学 完全版、行動経済学の逆襲
リチャード・セイラー
行動経済学に関する功績
わ、行動経済学の本は結構読んでるが本丸のこれら読んでねーわ。
前者は行動経済学のキー概念のNUDGEについての入門書で、後者は行動経済学の成り立ち(主流派とのけんか?)らしく読まにゃならんですな。
2016 企業 契約 金融構造
オリバー・ハート、ベント・ホルムストローム:契約理論に関する功績
ハートが自らの業績を解説した、研究者への入門書的位置付けらしい。ホルムストロームは邦訳なさそう。
2015 絶望死のアメリカ、大脱出
アンガス・ディートン
消費、貧困、福祉の分析に関する功績
2014 良き社会のための経済学、国際金融危機の経済学
ジャン・ティロール
市場の力と規制の分析に関する功績
前者は日経2018年「エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10」第1位とのことでまずこれが良いですかね。
2013 アニマルスピリット、⚫︎Who Gets What
ユージン・ファーマ
ラース・ハンセン
ロバート・シラー
資産価格の実証分析に関する功績
ファーマとハンセンは邦訳なしか。
シラーは多数ありますが、『投機バブル 根拠なき熱狂―アメリカ株式市場、暴落の必然』が品切れのようなのでこちらか。同じく受賞者のアカロフとの共著。
2012 ⚫︎Who Gets What
アルヴィン・ロス、ロイド・シャープレー:安定配分理論と市場設計の実践に関する功績
ロスの本。メーケットデザインの一般向けの入門書ですね。シャープレーは邦訳なさそう。
2011 合理的期待とインフレーション
トーマス・サージェント
クリストファー・シムズ
マクロ経済の原因と結果をめぐる実証的な研究に関する功績
サージェントはこの本だが品切れで中古のみ。シムズは邦訳なさそう。
2010 (邦訳なさそう)
ピーター・ダイアモンド
デール・モーテンセン
クリストファー・ピサリデス
労働経済におけるサーチ理論に関する功績
邦訳なさそう
2009 コモンズのガバナンス、市場と企業組織、ガバナンスの機構
エリノア・オストロム
オリヴァー・ウィリアムソン
経済的なガヴァナンスに関する分析
2008 空間経済学
ポール・クルーグマン
貿易のパターンと経済活動の立地に関する分析の功績
膨大な著作がありますが、受賞理由からするとこれが近いですかね。
2007 (邦訳なさそう)
レオニード・ハーヴィッツ
エリック・マスキン
ロジャー・マイヤーソン
メカニズムデザインの理論の基礎を確立した功績
邦訳なさそう。
2006 (受賞理由に近そうな邦訳なさそう)
エドムンド・フェルプス
政策における異時点間のトレードオフに関する分析
邦訳はあるが、受賞理由に近そうなものがない?
2005 ゲーム理論の基礎、ミクロ動機とマクロ行動
ロバート・オーマン
トーマス・シェリング
ゲーム理論の分析を通じて対立と協力の理解を深めた功績
オーマンの本。
シェリングの代表作はこれか
2004 (邦訳なさそう)
フィン・キドランド
エドワード・プレスコット
動学的マクロ経済学への貢献:経済政策における動学的不整合性の指摘と、リアルビジネスサイクル理論の開拓
邦訳なさそう。
2003 (邦訳品切れ)
ロバート・エングル
クライヴ・グレンジャー
時系列分析手法の確立
邦訳は品切れか。ARCH、見せかけの回帰、グレンジャー因果の人だから時系列分析のテキストを見れば当たり前のように出てくる。
2002 ファスト&スロー
ダニエル・カーネマン
バーノン・スミス
行動経済学と実験経済学という新研究分野の開拓への貢献
カーネマンも多数著作がありますが、代表作はこれでしょうか。スミスは邦訳なさそう。
2001 不道徳な見えざる手、マルチスピード化する世界の中で、新しい金融論
ジョージ・アカロフ
マイケル・スペンス
ジョセフ・E・スティグリッツ
情報の非対称性を伴った市場分析
アカロフも複数ありますが、前述シラーとの共著が2冊あり、『アニマルスピリット』はシラーの方で出しましたので、こちらはこれで。
スペンスの本書も品切れですが中古が手に入りやすそうなので。
スティグリッツも多数著作がありますが、受賞理由に近いのはこれでしょうか。
2000 幼児教育の経済学
ジェームズ・ヘックマン
ダニエル・マクファデン
ミクロ計量経済学において、個人と家計の消費行動を統計的に分析する理論と手法の構築
ヘックマンの書。マクファデンは邦訳なしか。
2000年以前は、著名な本のみで、
1999 ⚫︎マンデルの経済学入門
ロバート・マンデル
さまざまな通貨体制における金融・財政政策(「マンデル・フレミング・モデル」)と、「最適通貨圏」についての分析
一般向け経済学入門書。理論の解説ではなく、世の中の現象を経済学で説明している。
1998 アマルティア・セン回顧録
アマルティア・セン
所得分配の不平等にかかわる理論や、貧困と飢餓に関する研究についての貢献
このかたも膨大な著作がありますがこれが回顧録が良さそう。
1997 現代ファイナンス論、MBA税務工学入門
ロバート・マートン
マイロン・ジョーンズ
「金融派生商品(デリバティブ)価格決定の新手法(a new method to determine the value of derivatives)」に対して、オプション評価モデルであるブラック-ショールズ方程式の開発と理論的証明
マートンの著作。
MBA税務工学入門
ジョーンズの著作。
1991 企業・市場・法
ロナルド・コース:制度上の構造と経済機能に於ける取引コストと財産権の発見と明確化
論文の翻訳
1976 ⚫︎資本主義と自由
ミルトン・フリードマン:消費分析・金融史・金融理論の分野における業績と、安定化政策の複雑性の実証
これが代表作ですかね。古い本ですが、課題先進国と呼ばれる日本では特に現代的な意味を持つ本かと思います。
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