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南のシナリオ大賞 オーディオ・ドラマ②

コロナ、ウクライナ、と世の中は騒がしくとも、
年は明け2023年は始まった。
お正月気分が薄れてきた1月10日!
「南のシナリオ大賞」のホームページで
「ちりんとくん」のオーディオ・ドラマが公開された。

友人や知人、お世話になっている方々、
かなり狭い範囲にこっそりと
「実は…」と事の次第を説明し、
「気が向いたら、聞いてみてください」
と、ひそ~かに宣伝しておいた。
「シナリオ」も、
「オーディ・ドラマ」も、
かなり相手を選ぶ世界かもしれない、と、
私は経験的に思っていたので。

「趣味は小説なんです」
「わぁ、すごい。今度読ませてくださいね」
という会話、
これがシナリオではなかなか成立しない。

「趣味はシナリオなんです」
「はぁ、シナリオ?(少しの間)
すごいですね」
……で、終わることが多い。
この「すごい」には、
「変わった趣味ですね」的ニュアンスも
しっとりと含まれている。

加えて、私の知る範囲では
「ラジオドラマ・ファン」だ、という人に
会ったことがない。
昔、昔、ラジオを友に
受験戦争を戦った世代だって、
テレビの生活だ。
くわえて、ネットからは
少し乖離している方もいる。
テレビからも離脱気味な若い世代は、
言わずもがな、かもしれない。

どんなかたたちが
聞いてくださるのかなぁ、と、思いつつ
まずは、自分で自分の作品を聞いた。

とてもとても不思議な気分だった。

あえて、例えてみるなら、
九州へ修行の旅に出ていた我が子が
少したくましくなって活躍している姿を
聞き及んだ……、
そんな感じかも。
「みなさんに立派にしていただいて……(涙)」

少しでも「面白かった」と思ってもらえたら
嬉しいなぁ、と、
ラストの風鈴の音を聞きながら願った。

その日の午後から、
電話やメールで聞いてくださった方たちから
感想が届きはじめる。
シナリオ関係者でも、
ラジオドラマ・ファンでもない、
一般の皆さまだ。
お付き合いでなんとなく聞いてくださって、
お世辞半分で
「これからも頑張ってね」が主流だろうな、と
思っていた。
でも、でも、皆さんの意外な反応に驚かされた。
結論から言えば、
皆さん、かなり真剣に聞いてくださったのだ!

「子供のこれからが心配でたまらない」
「あの子はどうなるんだろう」
「おじさん、色々大変だろうけど、幸せになってもらいたい」
「ポケットの500円は母親が持たせたのか?」
「お母さんと仲直りできるとよいと思う」
「個人的に続きを書いてほしい」
「風鈴の出てきた場所が意外で、よかった」

こんな感想をいただくたびに、
心の中で両手を合わせた。
「なんて、ありがたい!」
あんな私の創り出した架空の人物たちを心配し、
あの世界を、ご自身の心で感じてくれたのです!

創作という作業、
私はこれまでは普通に、
自分目線で物語を考えていた。
色々なところで
聞いたり、読んだりした言葉がある。
「物語は受け手のもの、作者のものではない」
何かの訓示のようで、
個人的には
「実感や同調の伴いにくい言葉」だった。
その表すものをちょっと体感したように思った。

「南のシナリオ大賞」でいただいた
色々なものや新しい知見を
「思い出にしないように」
どうやって生かそうか?

私にとって、
第16回「南のシナリオ大賞」は
「これからなにをするのか」ということを
具体的に考えるきっかけになった。









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