麻雀　カジノでディーラーと同じぐらい大切な職業を知ってるかい？

　セット麻雀が終わり、一番刺さった人と二人きりになる。その人は結婚もしているし、子供もいる。時間もレートも自由はきかない。　
なのでたまの麻雀は本当に楽しみにしているのだが、結果は残念だった。

そして、帰り道に

「ああ、このラーメン屋有名だよね。」

とラーメン屋の前を通りかかる。

これはかなり前の記憶だが、思い出した事があった。

昔々、ある雀荘に私はいた。
まだ10代だった私はすっからかんに負けて、席を立とうとするとマスターが

「今からちょっとこの人とご飯を食べてくるからもう少し遊んでてよ。」

と、お金を貸してくれた。
何時間かして、マスターが帰ってきた。
私は少しだけ負けを取り戻して、借りた分を返すと

「マスター、随分遅かったですね？何してたんですか？」

と聞いた。
するといきなり

「カジノでディーラーと同じぐらい大切な職業を知ってるかい？」

と聞かれた。

「え？なんすかいきなり‥イカサマ見つける人とか？」

「いや、それは負けた人の話を聞いてあげる人だよ。さっきの人、大分刺さったし、心がささくれてたからね。話を聞いてたんだよ。」

その時は理解できないので

「そんなもんすか。」

と言ったがマスターは

「博打をしていたら必ず大きく負けたり、負けがこんだりするからね。そんな時にもし時間に余裕がある時や親しい人がいたら話をきいてあげな。その人も楽になるから。」

と当時に言われた。

そして、そんな事をふと思い出して、私は

「ラーメン、いっちゃいますか！？俺、おごりますよ！」

と、ラーメン屋にいき、一時間ぐらい話を聞いた。
その後は『ありがとうまたやろうと』ラインが来た。

その雀荘はもう失くなったけど、教えられた事は残っているのだ。