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色付きワイシャツ

「色付きのワイシャツってええよな。なんか頭良さげだし、青春って感じするわ」

今日も僕が仕事をしている横で漫画を読みながらうっとりしている。

「俺のとこ水色だったよ」
「まじ?」
「まじ」
「写真あるよ」

僕は高校の写真を見せた。自分でも久しぶりに見た。

「…まじだ」
「でしょ」
「制服おしゃれ」
「それ、結構言われてた」
「ちなみに偏差値いくつ?」
「68くらい」
「さすがトーキョー」
「関係なくない?」
「あおって何気頭ええよな」
「地味に失礼」

高校生の僕はまだ坊主だった。

「屋上といい、あおの高校は”ザ・青春”学校だな」

彼女は僕のスマホの中の僕と目の前の僕を行ったり来たりで「これがこうなるのねえ」とか「今の方が若くない?」とか言っている。

「野球部って感じじゃ」
「野球部だから」

「ネクタイもおしゃれでええね、これちゃんと結ぶタイプ?」
「そうだよ」
「くうーーーーーーー」
「そこ大事なんだ」
「大事じゃろ」

知らない感覚だ。

「女子の制服とかないの?」
「探すわ」

確か、卒業式の写真があったはず。そう、これだ。高校時代のことはあんまり思い出したくはないけど「記録」として何枚か残していた。


「ほえーーー、超可愛い」
「うち付属でさ、近くにもういっこ同じ付属校あったんけど、制服で選ぶ子いたよ」
「わかるわその気持ち」

知らない感覚だ。


「うちもこんなの着たかったわー」



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