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19世紀ファッション、乾いた美しいラインに魅かれるワケ


ヴィクトリア朝初期のドレスって?

ファッションの歴史の中でも特に見やすい例が
メトロポリタン美術館にあります。
それが1843年のこのシルクの日中用ドレス。

日中用ドレス 1843年 メトロポリタン美術館蔵 パブリックドメイン

今回はこのウェストラインだけに注目。
19世紀初頭のエンパイアスタイルで超ハイウェストになったよね?

そのウェストラインがだんだん下がってきて‥
1840年代にはMax下がりました。

なで肩胴長の小さい女性が美人だったんだよ。

それを体現できるのがこのライン。

つまり
小さい頭から長い首を通って
超なで肩から
イチョウ型の美しい胴につづいて‥

そこからウェストラインの真ん中に向かって三角にとがっていく。

ウェストからは外にはねるようにスカートがはじまるね。
空気をふくんでふんわり裾にぬけていく‥
それが1840年のライン。

なんで
『ウェストから外にはねるようにスカートがはじまる』かというと
縫製方法に秘密が。

ウェストから外にはねるスカートのヒミツ

『ウェストから外にはねるようにスカートがはじまる』のは
スカートにハギ目がまったくないから。

このドレスは2ピース。
胴衣を用意したらスカートを縫製します。

スカートは筒形の大きな布。
円周が4-5メートルあるの。
そのウェスト部分にギャザーを寄せて
胴衣のウェストのVラインに均等に縫い付けて行きます。

これは絶対ミシンではできない。

スカートのギャザーをすくって胴衣に一針づつ縫い付け‥
これが結構固いので
糸にロウなどひかないと引っ張れないし
からまる。

そうやってスカートの縫い目が下を向いてるから
ふんわり空気をふくむの。

現代のマーメイドスカートみたいに
生地を接いであったら
こうならないよね?

好みによっては
スカートを横向きに縫い合わせても。
そうするともっと空気を含んで逆さにしたチューリップみたいになるの。

ベタベタ甘すぎず
媚びなく
乾いた感じでロココ終焉のシルエットみたい。

これが19世紀ファッションの夜明け

1780年代のローブアラングレーズから
革新的なエンパイアスタイルを通って
1830年に一度前時代の貴族回帰して
この40年シルエットに落ち着いたんだね。

ここが19世紀ファッションの夜明け。

これ以降は近代化、工業化の波にのって
できること
できないこと
を乗り越えながら
流行は高速で回転していくよ。

ロココ女性ファッションについて豪速でまとめたのはこちら↓

1800年代のドレスメイキングはここ↓


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