装甲騎兵ボトムズ 第3話「出会い」後半~恐怖!!バルカンセレクター~

 メカのメンテナンスをするシーンにて。ついに出た……!CV千葉繁のチョーシいい男……!最初のセリフが「いーや、参った参った隣の神社だよ~」である。のっけから飛ばしてきやがる。

 ここの会話で初めて「ボトムズ乗り」というワードが出てくる。この物語の世界における戦闘用ロボット全般の俗称が「ボトムズ」。ロボットアニメのタイトルといえば、たった一つの機体の名称を使うのが当たり前のはずでした。たった一つの機体が作品の看板の役割を果たすのがお約束。でも『装甲騎兵ボトムズ』はそうではない。そういう点から見ても、これ、すごく変わったアニメなんですね。

 ゴウトとCV千葉のあいだで武器の売買がなされる。銃を取りにいくため地下への階段を降りていくゴウト。それを見届けると、ここぞとばかりにキリコに絡んでいくCV千葉!バニラと名乗るコイツ、ゴウトにナイショで俺と組まねぇかとキリコを口説きにかかる。千葉さんの演じるキャラがしゃべりだすと本当に小気味いい。楽しい。

 一方、街ではキリコを探し回る暴走族がココナに絡んでいた……首根っこ掴んだりしてヒドイ……女子供をこういう風に扱っても許される街なんだからホントに治安が悪いぞ!

 そののち、猫を撫でながら暴走族の会話を盗み聞きするココナのシーンへ。暴走族たちの次の行き先が「15P地区」であるという情報をつかむ。

 雨が降り始める。どしゃ降り。都会の雨の音だ。モブのポリスの報告。脱走者のうち、生き残りは一人に絞られたらしい。キリコのことじゃん……

 ATのメンテにキリコたちが手こずっているところへ、雨の中、布をかぶって駆けてきたココナ。もうすぐ敵がここを探しにくるぞと知らせてくれる。なんて有能な子!雨が止む前に何とか手を打たなければ……その後、ゴウト・バニラ・ココナのコミカルな会話が繰り広げられる。こんな感じのやりとりがお馴染みのものになり、30年後になっても見られるなんて誰が予想したであろうか……(涙)

 そして、朝日。雨が止んじまった。でもATの修理は間に合った様子。機体に乗り込むキリコを見送る三人。心配そうなココナをよそに、さっさとゴーグルを着けて素顔をすっぽり隠し、無言で見つめ返すキリコ。あまりにも無機質。ココナは怯えた表情を見せる。戦闘服そのものが怖いのかもしれないし、急にキリコが“戦士”モードになっちゃって不安にかられたのかもしれない。フレンドリーに接しようとしていた彼女が一転、キリコとの距離を感じ取ってしまういいシーンですね。

 相変わらず無言のままATの“フタ”を締めるキリコ。街からの脱出計画を心配しつつも「どうやったってムリだね!」とイヤミを言うことも忘れない強気のココナちゃん。

 と、ここで、ATのカメラ部分が横にぐいんと動きココナに向けられた。“一瞥”(いちべつ)だ。このメカデザイン、つくづくいい。“一瞥”の動作がこんな形でできる。

 そしてついに、轟音を立てながら直したてのATが立ち上がる。いわゆるガンダムでいうところの“大地に立つ!”が第3話でようやく実現。ちょっと長かった……!

 街中に場所を移し、立ちのぼる煙の合間からキリコを乗せたATが現れる演出へ。暴走族のバイクを蹴飛ばし、生身の人間に向かって容赦なく発砲。ロボットにここまでやられては、人間はひとたまりもない……かなり過激な描写。

 ドンパチやっている最中、一台の高級車が通りかかる。乗っているのは運転手と美女。どうするか尋ねる運転手に美女は「まっすぐ突っきりなさい」。む、無茶では……と思ったらこの高級車、防弾仕様で流れ弾が当たっても何のその、何も無かったかのようにその場を突っきってしまうのでした。この女性が第1話でキリコが見つけたつるっぱげさんであることはわかるけるど、今回はまだチラ見せ程度で出番終了。

 キリコが初めて技名を叫ぶシーンへ。「バルカンセレクター!」。この技、効果がかなり恐ろしい。幾人もの人々が熱に包まれちりぢりに消える映像が……ロボットアニメの主人公が使う技がこれなんだ……本気で人を殺すための兵器じゃないか……はっきり言って悪の組織とかが民衆を襲うときの演出だぞコレは……この作品、主人公と彼が乗り込むロボットを“残虐性を内包したもの”として描こうとしているらしい。作る側が何にこだわっているのかがよく伝わってきます。応援しちゃいけないけど応援したくなる、虐殺モードのキリコちゃん。

 炎にまみれた惨事の中、キリコは震え始める。警察のヘリや白バイがわらわらと集まってきた。暴走族を攻撃するポリスのせいで現場はさらに火の海に……度重なる爆撃で、明らかに人がたくさん死んでいる……

 しかし、こんな状況下でも、この主人公は「きな臭い懐かしさ」などとのたまうのです。自分の居場所がここしかないみたいに言っちゃって。驚くぐらい自虐的な奴だな。第1話から第3話までずっと見てきたけど、キリコというキャラクターがどういう奴なのか、ここまで来るあいだにとても丁寧に描いてくれていたと思う。たっぷり伝わったというか。このアニメが戦後を舞台にしている理由がなんかわかる。戦争が終わった後も居場所が無い人の物語なんだ。果たして彼に希望はあるのか……?と思ったところで、つづく……

 今回のお楽しみ予告タイム、“カリギュラ”とか“コロッセオ”という言葉が出てくる。古典文学や神話や歴史に詳しくないと吟味できないやつじゃないですか……勉強しなさいということですか……わ、わかりました……(倒)

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