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私の大切な友達③ 17歳のスーパーノヴァ

「もうみーちゃんお絵かきしない!!」
三歳の娘が急にキレ出した。アンパンマンを描きたかったのに、うまくいかなかったらしい。
「ぜんぜんじょうずにできない!もうお絵かきしない!エンピツも捨てる!うんどうかいも2番だったし!」
と、かけっこで1番を逃した昔のこと(3ヶ月前)まで持ち出して、いきなり自暴自棄になりだした。
思い描く理想と、現在地とのギャップに苛立っているのだろう。
だけどそれは、裏返せば未来が見えているということだ。到達するところを見通せるようになり、一方で自分の現状を認識できる能力も出てきたということ。そのふたつの距離はそのまま「のびしろ」だし、苛立ちは成長している証だ。
それは三歳くらいに強く出る傾向であると同時に、十代のいわゆる「青春期」に共通するものでもある。

高校生が主人公で、高校が舞台。そんないわゆる日本の「青春もの」と銘打たれたジャンルには正直、あまり惹かれない。
そもそも「青春」という言葉には、大人がキラキラした過去を振り返って悦に入る懐古趣味的な雰囲気があるし、そういう「昔はよかった」的なものは白けてしまう。かといって、その年齢の視野の狭さや浅慮、渦中のリアルをそのまま写し取ったようなものを読むと、とっくの昔にクリアした問題集をまたやらされているような徒労感がある。
いつ読んでも普遍的・不変的な価値がある「青春もの」を描くのはなかなか難しいのだと思う。少なくとも、私が知っているかぎりあまりない。

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2,516字
すべて未発表、noteのみのエッセイです。

シェアハウスでゆるく共同生活をしながら、人生のあれこれについて小声でお話しするようなマガジンです。 個人的なこと、「これはシェアしたほうが…

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