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簡単で便利ということは同時にいらないものがくっついてきてしまうということ
最近読んで印象に残った脚本家の木皿泉さんのインタビューがある。
「お金で得られる幸せは結局、相対的な物ですよね。誰かと比べているうちは、いつまでも幸せにはなれないんじゃないかな。むしろ、損をしているくらいのほうがいい。今の社会の風潮が、常に比較して損しない方を選ぶのが賢い、という価値観が大前提でしょ。ポイント集めなきゃ損ですよ、とか、カード作らなきゃもったいない、とかね。気がつかないかもしれないけれど、それがすごく世の中をしんどくさせている」
シンプルでいたいから、ネットも見ないし携帯も持たないというおふたり。
「簡単で便利ということは同時にいらないものがくっついてきてしまうということ。労力をかけてでも連絡したい、会いたいと思う人とだけで十分だな、と思う(後略)」
本当にそうだよな〜と共感した。便利さにくっついてくるいらないものというのは、一つ一つは小さくても、積み重なるとなんだかうっすらとしたモヤのように人を包み込んでいって、気づけば結構致命的なことになっていったりする。自分にとって大事なものが何かという判断基準や、物事の優先順位などが少しずつぼやかされていくような感じというか。
そんなことを漠然と思いつつ、とはいえ、私自身は、そんな風に思いつつも、ネットも見るし、携帯も持っているし、ポイントカードだって(最小限にしようとはしているけれど)持っている。なので、便利さを手放せては全然いない。こういう事は言うのは簡単だし、共感する人も多いだろうけれど、実行している人は多くない。考える事と行動する事の差は、とてつもない距離があると、ここの所しみじみ感じている。だからと言って、突然木皿さんと同じことを実行しよう!とまでは至れないし至る必要もないだろうけれど、こういう人がいる、ということがいいなと思った。私自身はほとんどテレビを観ないので、木皿さんのテレビドラマも見たことがなく、かろうじて有名な「野ブタ。をプロデュース」のタイトルを知っているくらいだけれど、作品を観てみたくなった。
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