細井典子/編集・ライター

Web制作会社にデザイナーとして入って10年。編集記者。地域ニュースメディア「熊谷経済…

細井典子/編集・ライター

Web制作会社にデザイナーとして入って10年。編集記者。地域ニュースメディア「熊谷経済新聞」を運営しています。noteは自分の中身を言語化する練習、メモのために。

最近の記事

元旦の墓参り

「今年もまたウチだけ」 隣を歩いていた娘が不満そうにそうつぶやいたのは、正月恒例の墓参りでのこと。 市内にある墓地に自分たち以外人影もなく、あたりはシンと静まり返っていた。 「当たり前じゃん、元旦から墓参りするヤツなんていないよ。しかも朝っぱらから。なんで墓参り?今日じゃなくても良くね?」思春期の息子もポケットに手を突っ込んでぶつぶつ言う。 ウチでは当たり前のように行われている「元旦の墓参り」。母が嫁いできた時にはすでに恒例行事になっていたというから、かれこれ半世紀以上

    • あのころのJKとティッシュ

      「アナタ」 もう20年以上前の話、高校生だった私は背後から声を掛けられて固まった。金曜夜8時過ぎの埼京線の車内、けっこう混んでいたと思う。 「あなた」なんて呼ぶ知り合い、いない……え! だれ? 私は振り向いて声を掛けた人を見る。 背が高くて、鼻が高くて、彫が深い……! が、ガイジンだ!  しばらく声も出せずにいた私に、その人はティッシュを渡してくれた。何のことはない、駅で配っている広告の入ったポケットティッシュ。 「どうぞ」と言われたのかもしれないが、知らない人に声

      • 子ども語録 その1

        「ねーママ。このお菓子、カミドで作ってるんだって!」 そう娘に言われ、頭にはてなマークが浮かんだ私は、首をかしげながら指さす方向を振り返った。 え? カミド? お菓子の箱には販売元住所「兵庫県神戸市」と書かれている。 「あーはいはい。これは神戸。こうべって読むよ」 毎度のことながらがっくり肩を落として言う私に、娘は「こうべ」「こうべ」となぜか嬉しそうに繰り返した。 日本語、特に地名の漢字は特別な読み方があったり前後に来る言葉で読み方が変わったりして子どもだけでなく大人で