不妊治療で地獄を見たら金カムの杉元に救われた話

3年の高度不妊治療。
かかった費用は....ここでは言えない

私は会社とか友達とか親には
治療してることは言えなかった。

自分でお腹に注射打ったり
Ｍ時開脚でオペ室で固定されて
臓器に針刺して血をぶーぶー出してたり
そのまま走って帰って
何食わぬ顔でプレゼンしたりとか

そういうのぜんぶ、ずっと隠してた。

だって不妊治療って、出口戦略ないのよ。
普通に治療何年もやって
あーね、子供できませんでしたわ、って
はい1000万円かかったね。
さよなら。って
報われずに終わる可能性がある
プロジェクトなわけで。

来月妊娠してるかもしれないし、
10年後も治療してるかもしれないし、
計画とかないのよ。たてられない。
結果を全部受け入れて
お金を払い続けて体に針を刺し続ける
うまくいったら、いいですね。
そういう特殊なプロジェクトなわけで。

で、もし治療してるって人に言ったら
その人は、何ヶ月とか一年とかたったら
「どうなったのかな？」って、自然に思うよね、
でもそれには答えられないから、言えなかった。

かわいそうって思われんのもしんどいしね。
自分は自分をかわいそうって思ってなくても
かわいそうって目を向けられると
なんか、みじめになってくるやん。
それがガチしんどいんよね。

私のかわいそうさを定義しないで、
ってなっちゃうから。

でも、治療はじめて最初の半年とか一年って
まだ希望あるんよね。
来月妊娠できるはずって普通に思えるんよね。

でも2年とか超えてくると
1周期の治療が1ヶ月だから
24回毎月絶望してるってことなんだけど
そしたら、希望とかより恐怖になってくるんよね。

あ、もうほんとに無理かもって。

いつ終わるかもわからないし
でも、子供欲しいんですよね？
じゃあやり続けるしかないですよね？
っていう世界にいる。
まじで絶望してくるんよね。

あれ、私この生活
10年続けられるのかな？って
思うと、もう現実受け止められなくなる。
闇の中にいたと思う、ひとりで。

で。救いは意外なところにあった。

私、ゴールデンカムイがめちゃめちゃ好きで。
杉元が、言うわけさ。

人間を殺せば地獄行きだと？
「それなら俺は、特等席だ」

いやそれだよ、私が欲しかった救いはさ。
ってなった。
治療始めて2年たったくらい。

ここは地獄じゃないとか天国行き目指すとか
もはや、そう言う次元じゃないんよね。
救いがないのに救い求めるのが一番辛い。

地獄の特等席で地獄にいる自分認めてるの
すげー真理で、すがすがしいな、って思って。

私も、不妊治療しながら
いつか報われるはず！とか
これも必要なこと！とか
そういう天国目指すのに疲れちゃって。

救いなんかないのにさ。

ストレスは妊娠の大敵⭐️
ハッピーでいましょう！
っていう説たまにあるけど、
無理ゲーすぎるんだな

よく考えてくれ
子供ができないのがストレスで
お金払うのがストレスで
仕事と両立するのがストレスで
臓器に針刺して痛くて
出血してんのがストレスで。

てか、ストレスって、
負荷をかけてがんばるってことじゃん？
ていうか、それが人生なんじゃないの。

それが妊娠の大敵なら、
私は一生妊娠無理だしね。普通に。
だってがんばってるからね。

だから、途中からは
「私は地獄の特等席から這いつくばってやんよ」
って思ってた。杉元理論。

極楽浄土から不妊治療はできんのよ。

だったらわたしは、
地獄の特等席から不妊治療続けてやんよって。

そしたらなんかちょっと気持ち楽になったな。

どうせ地獄なんだから、
地獄の特等席から這いつくばればいいじゃんって。

それで結局、安定期入るまで
不妊治療してたことは
親にも会社にも友達にも言えんかった。

今は言ってる。20代から3年やったって。
みんなめっちゃやさしくしてくれる。

友達には、正直に、あの時じつは不妊治療してて
あんまり連絡とかとれてなくてって言った。

出産した友達とか、おめでとうは言えても、お祝いとか贈れてなかった人もいたから、謝ったりした。

不妊治療を経て夫婦の絆がより深まりました！とか
不妊治療がいい経験になりました！とかは
私は、なんか言えない。
それは産めた側の思想だから。

それを知らなかった頃には戻れないし
けど、なんかこのまま黙ってたら
私、ただかわいそうなだけだ、って思った。
だから、なんか隠すのはやめた。

でもさ、そういう経過と、
産まれてくる命は、マジで全く関係ないんよね。

で、なんかそれがいいなって思った。

私のためとかじゃなくて、
旦那さんのためでもなくて、家のためとか
誰かの願いのためでもなくて、
ただシンプルに何もなかったところから
お子という完全に新しい命が誕生してくるんだわ。

なんかそれがすげーいいなーって。
命カッケーじゃん、って。
妊娠した時、なんかそう思った。

その3年で経験したいろんな感情が、
やわらかな風に乗って
ちいさなちいさな
ちりになっていくのを感じた。

だから我が子にはいいたい。
私のためになんか生きないでって。
くそつまらんから。

私も旦那さんも知らない未来まで
行ける命だから、
一緒に楽しむしか！！！！

んで、アシリパさんみたいな子だったら
すげーカッケーよな
でも関係ないんだわ
お子にはもうお子の道があるんよね。

だから、何もなかったところから
ただ産まれてくるべし
そのまま輝くべし

一緒にほとほと疲れ果てるまで
楽しむだけ

サンキュー杉元
地獄を地獄って言ってくれて
こちら、ひとひらの後悔もなし

#推しの少年マンガ
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