春の雨はあたたかいのだろうか
梨花一枝春に雨を帯びたり
~可憐な梨の花が、春雨にしっとり濡れている風情である~
長恨歌(玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋物語)の中の一句です。
玄宗皇帝は、亡き楊貴妃の魂をさがし求めていたところ
遠い仙山に住む一人の仙女が楊貴妃の生まれ変わりであることを知ります。
その時の仙女の様子をあらわした一句です。
玄宗皇帝のことを思い出し、はらはらとこぼれ落ちる涙。
その様が、春の雨のようであると詠っています。
絶世の美女と言われた楊貴妃は、なぜか冷たくて
ぬくもりを感じさせないイメージがありました。
よく知らないという事が、そのイメージに繋がっていたのかもしれません。
春に咲く花々を思わせる美しい人
この詩の中に、春という文言はよく出てきます。
その度に読み手である私たちは、楊貴妃と春をリンクさせていきます。
涙は、きっと春の雨のようにしとやかで
そしてあたたかいのだろうと思わずにはいられない。
長恨歌…全120句からなる大作ですが
おススメしたい古詩であります。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?