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金色に光り輝くかけがえのない宝物

ロキソニン鎮痛剤は、かつて私の常備薬であった。
辛い頭痛を、一撃でとは言わないが、なんとか日常を送れるくらいには収めてくれる。
3人の子どもたちがまだ家にいた頃は、特にひどく、2、3日に一度、また時には、連日お世話になることもあった。
それが50代を境に激減し、60歳を過ぎた今では、ほぼ服用することはなくなった。
心配事が減ったからか、体質が変化したのか、それとも痛みに鈍感になったのか、理由ははっきりわからない。

頭痛の種は、前触れなくポッと芽を出す。
放っておいて収まることもまれにはあるが、たいていはどんどん育ち、結局は寝込んでしまうほどの激痛になってしまう。
いつおきるのかわからない頭痛のせいで、気が気ではなかった。
不安をなくしたくて、ずっとバックに入れていた。

仕事終わりの帰り道、頭の奥にほんの少し違和感がする。
あぁまたきたかと覚悟する。
バックを開けると、ロキソニンが、まばゆいばかりの光を放って、燦然と輝いているのが見える。
今日もありがとうと拝んで1錠取り出し、疲れたすきっ腹に放り込む。
ガリガリとかみ砕いて、水と共に一気に流し込む。

容量・用法を守ることの大切さは、わかっていた。
しかし、すぐにこの頭痛を収めないと家が回らない。
家に帰った瞬間から、休む間もなく動いたって終わりは見えない家事。
頭が今にも割れそうな痛みに襲われようが、容赦ない。
早めに休んだところで、家事はなくなるわけではない。
ただ翌日の仕事を増やすだけだとわかっているから、休めもしない。
だから、痛みがピークになってからでは遅い。
何かを食べて・・・などと悠長なことはいっていられない。
いつも神経が張り詰めていた。
慌ただしい日常の中で、身体を酷使し、薬でごまかしながら、30年以上にわたり、踏ん張りながら、共に乗り越えてきた。

ロキソニンは、今でもバックの中にある。
ほぼ出番はなくなったが、その輝きは、変わらない。
バックを開けるたび、大丈夫かい?とキラキラときらめきながら、笑ってくれる。もうそれだけで心まで温かくなる。

㊟ロキソニンは、市販のものではなく、かかりつけ医に処方していただいた医療用です。

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